07 買い物
軽食のお昼を済ませて買い物へ。
武器や装備は支給されたもので十分だったので、必要なのは食料品を含む生活雑貨。
召喚時に貰った『収納』スキルはけっこう大容量らしくて、このくらいの旅に必要な荷物程度なら気にせず入れられるようだ。
まずは衣服。
下着肌着の類は城から大量に持ち出してきたので、雨具代わりの外套や厚手の上着と、使い道には事欠かないと言われて布や端切れを多数購入。
この世界の下着についての不満をリリシアさんに洩らしているマユリさん。
もちろん聞こえていないふりをしたが、頬を赤らめているリリシアさんを見逃す俺では無い。
次は雑貨。
布・ひも・棒だけで出来る簡単テント、水筒、携行しやすい大きさの食器、魔導具のランプ、料理以外にも普段使い出来るナイフ、旅の途中で狩った獲物を入れる袋、などなどとにかくいろいろ。
本格的な生活用品は町についてからとのことだったが、すでに結構な大荷物だ。
大量のボロ布はいわゆるトイレットペーパー代わり。
この世界に召喚された人が一番苦労しているのは食でも住でも無くトイレだそうだ。
城のトイレですらトイレットペーパーなど無く、備え付けのボロ布を水で湿らせて拭いた後、その布は寄せておいて後で洗って再利用される。
布を再利用するのはおしめみたいなものと割り切ることで抵抗感は少なくなったが、旅先ではトイレ穴掘りも必須だろう。
女性ふたりとの旅は今からかなり気が重い。
最後に食料。
カチカチに硬いパン、濃い目の味付けの干し肉、やたらと安いワイン。
以上の三点セットが、この世界での旅人の基本食だそうだ。
俺の『収納』に入れたものは劣化しないようなので、かなり多めに購入。
旅の途中で採取や狩猟も出来るけど、食の準備は怠るなとのリリシアさんのお言葉。
良い所の生まれだろうに、マユリさんも言ってたけど本当に男前な貴人である。