37/38
37 その後
特に何事も無い穏やかな日常。
変わったことと言えば、屋敷にメイドさんがひとり増えたくらい。
子供の頃のリリシアさんのお世話をしていたという、その人はメリルさん。
王都からメリルさんを連れてきたリリシアさんが、その夜こっそり言った言葉。
「将来産まれる子供をニエルだけに任せておけるものか」
ごもっとも。
優しいが仕事には厳格なメリルさんと、有能だがマイペースなニエルさん。
なぜか気が合ったふたりに屋敷のことを任せて、三人で依頼をこなす毎日。
無理せず欠かさずの鍛錬のおかげで、パーティーのリーダーとしてやっていける自信もついてきた。
そんなある日
屋敷に俺とメリルさんしかいなかった時に訪問者が訪れる。
馬車というより装甲車に乗って現れたその人はアリシエラと名乗った。




