32 査定
なんとか薬草採取終了。
ちなみに一番多く採ったのはマユリさんでした。
さすがアウトドア文学少女、やるときはやってくれる。
剣の処理が甘かったせいかずっと血の匂いがする。
マユリさん、あまりくっついてくると血が臭いでしょう。
ギルド到着、まだ混んで無いのですぐに受け付けへ。
薬草採取依頼完了、結構嬉しいですね。
達成報酬はそれなりだけど、達成感が心地良い。
受け付けのお姉さんに魔物を回収してきたことを告げると、裏手の解体場へ行くようにと言われる。
マユリさんはついてこないほうが良くないですか。
解体場は建物というよりも木の柵で囲まれた更地、天気が悪い時は天井代わりの布で覆うけど、匂いがこもらないように基本的にはオープンスペース。
ガタイの良いおっさんが数名、こっちをにやにやと見ている。
「魔物の査定、お願いします」 少し声が裏返ってしまった。
「おう、早く出しな」 と、オッサンA。
邪悪わんこを『収納』からポイっと。
「一撃とは、やるな坊主」
坊主はお前だろとつっこみたかったが、頭髪ネタは地雷率がとても高いので禁止の方向で。
「アレは出さんのか」 とリリシアさん。
忘れてた、っていうかずっと入れっぱなしだった。
凶悪いのししをポイっと。
見た瞬間、オッサンズABCの顔色が変わった。
入念に凶悪いのししの額をチェックしていたオッサンズ。
「見事だな」 オッサンA。
「痛み入る」 リリシアさん。
何やら通じ合ってるのがちょっと悔しい。
伝票みたいなものに書き込んでいるオッサンA。
「良いもん見させてもらったぜ」 伝票を渡された。
まぶしい笑顔のオッサンズに礼を告げてギルド内へ戻る。
再度受け付けへ、伝票を渡すとお姉さんの表情が少し変わった。
「お疲れ様でした」 笑顔のお姉さんから渡されたのは、これ薬草報酬の何倍なんだろう。
思わずリリシアさんの方を向いたら、マユリさんの背中をさすってた。
慌てて報酬を受け取ってふたりの方へ。
「大丈夫ですか」 と声をかけると、
「ごめんなさい」 と真っ青なマユリさん。
「どこかで休憩しましょう」 と言うと、
「ギルドを出て真っ直ぐ、数軒先に軽食の店がある」
「剣を洗ってから来てくれ」
ごめんマユリさん、洗うの忘れてた。




