31 採取
町の西門から徒歩半時間ほどにある林、そこが採取場所。
結構近いが、ちゃんと魔物は出るそうだ。
ギルドで貰った地図の裏、お目当ての薬草の図解付きってイラスト上手いっすね。
何となくマンガチックにデフォルメされている感じ。
もしかして召喚者が関係しているかも、俺も絵心があったらこういう仕事をしてみたい。
「来たぞ」 リリシア先生からの警告。
林は視界が悪いけど、なんとか俺でも発見出来た。
犬っぽいけど明らかに違う。
以前見たいのししのように、凶悪さのブーストが掛かってる感じ。
「一匹だけだが、アラン殿がやるか」 先生、スパルタですね。
「行きます」
支給品の剣を構えて、ポジションはマユリさんをかばう位置に。
木の根や何かで足元が荒れているので急接近は難しかろうと余裕かましてたら、いきなり来た。
突然飛びかかってきた邪悪わんこに向けて、素直にスッと剣を下ろす。
腕に衝撃、邪悪わんこ倒れる。
「お見事、落ち着いたものだな」 先生ありがとう、って言いたいとこだけど心臓バクバクですわ。
「剣を無闇に振ったりしないで、相手の方向に合わせることだけ考えてました」
格好良いこと言っているようで、実は本人何も分かってないパターン。
「すごいな、今からその境地とは成長が楽しみだ」
「四足獣のスピード舐めてて足を使えなかったですけど」
「いや、ちゃんとマユリ殿をかばえる位置まで動けていたのだ。 あまり謙遜するな」
上着のすそを引っ張られる感じがして振り向いたら、マユリさんと目があった。
首をこくこく振ってうなずくマユリさん。
「血の匂いで変なのが集まってくる前に場所を変えましょうか」
『収納』に魔物を入れながら移動準備。
マユリさんがすそを離してくれない。
リリシアさんはこっちを見て満足そう。
早く薬草集めて帰りたいです。