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28 お風呂
夕食も済み後片付けのニエルさん、
「お風呂沸いてますのでどうぞ」
出来る女だな、ニエルさん。
なぜかそわそわしているふたりに、
「お風呂、お先にどうぞ」
走っていかなくても良いのに。
食後のコーヒーもどきを楽しんでいると、
「戸締りを確認してお先に休ませてもらいますね」
「一緒にお風呂してきたらどうですか」
「でも……」
「俺の故郷には裸の付き合いって慣習があるんです」
「一緒にお風呂すれば仲良くなれますって」
「そうですねっ、行ってきます」
吉と出るか凶と出るか、リリシアさんが帯剣していないから大事には至らないだろう。
……
「ご馳走でした。 良いお湯でした」
「もしかしてニエルさんて良いとこのお嬢さまだったりしませんか」
「イヤですよぅ、さっきも言った通りバリバリの庶民派ですよぅ」
「分かりました、おやすみなさい」
「はい、おやすみなさいです」
「そういえばおふたりが言いたいことがあるって言ってましたよ」
「明日のお楽しみですねっ」
うん、たのしみですね。
風呂で頭から水を被るのも禊ぎと言うのであろうか、などと考えながら浴室へと向かった。




