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22 すまき


 マユリさんにお願いして、左手薬指の『行動阻害』魔法を使ってもらう。


 というわけで、今ベッドの上には半泣き顔のまま固まったサキュバスが転がっている。



「これ、どうしましょう」


「人の心を操る魔物は、断つ」 目が据わっているリリシアさん、怖いです。


「私の魔法でいつでも拘束出来るんで、もうちょっと話を聞いてみたいです」


 マユリさんはやはり優しい。 目線がメイド服から離れないのが少し気になるが。



「多数決だ、アラン殿はどうする」 射るような目線のリリシアさんと祈るようなまなざしのマユリさん。


「話を聞くという意見には賛成なのですが、その前におふたりにやってもらいたいことがあります」



 ベッドの上には毛布でぐるぐる巻きにされ縄で縛られて首だけ出したサキュバス。


 少々扇情的に過ぎる衣装を隠して欲しいという俺からのお願いの結果である。



 口を塞いでからマユリさんに拘束解除してもらう。


「んーっ」


「君の去就は話し合いの結果次第となったので、これからの発言は落ち着いて慎重にしたほうがお互いのために良いと思う」


 無言でうなずくサキュバス。



「最初に、ここにきてから何人犠牲者を出した」


「屋敷の中まで来てくれたのは御三方が初めてですよぅ」


「つまり今の君は空腹で飢えたケダモノ状態だと」


「さっき寝る前にちゃんと10時のおやつを食べたのでお腹はいっぱいですよぅ」

「誘引結界を使って他の人の生体魔力を吸収するのは自分の魔力を補充するのにほんのちょっとだけ必要な分だけなんですよぅ」


「生体魔力とやらを吸われると死んじゃうんじゃ」


「そんな酷いことしないですよぅ、死んじゃったらもう魔力もらえないじゃないですか」



 一旦口を塞いで確認。


「どうやら有害生物ってわけじゃないようですね」


 納得いかないという表情のリリシアさん、ホッとした表情のマユリさん。



「もし解放されたらこれからどうする」 手を離す。


「出来ればここに居させてくださいよぅ、お掃除もお料理も得意なんですよぅ」


「つまりコレをこのまま置いとけば労せずしてこの屋敷に必須のメイドが手に入る、と」


「魔族と同居など私が許すと、もしやアラン殿はまだ魅了されて」


「いや、それは無いです。 どっちかって言うとこんなお子さまサキュバスよりもリリシアさんみたいな大人の女性が好みなんで」


 リリシアさん、崩れ落ちて膝をつく。


 我ながら、だいぶ扱いが慣れてきたと思う。



「話を聞いてみましょう」 冷静だな、マユリさん。


「聞いての通りだが、要するに人に迷惑掛けないならここで暮らしても良いってことだ」


「喜んでっ。 こう見えて良い仕事しますよっ」



「ちなみに以前の仕事は」


「魔族のすっごい偉い貴族さんのお屋敷でメイドしてました」

「けど人使い荒いしちょっと失敗すると首飛ばされちゃう娘もいたりして、怖いからこっちに逃げてきちゃったんですよぅ」


「そんな簡単にクビにされるなんて、やってらんないよな」


「全くですよぅ、いくら私たちが庶民派だからって命を何だと持ってるんですかねぇ」


 そっちの首か。



「それじゃこれから就労条件の書類作りますけど、おふたりはどうしますか」



 たぶん思惑はそれぞれ違うけど、興味津々なまなざしのふたり。


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