20 伏兵
無事、物件に到着。
周りに何も無い町外れ、柵に囲まれた土地が全て敷地だとすれば広いっていうか広すぎる。
リリシアさんの鍛錬場どころか観客席付きの武闘会場が作れそう。
当然リリシアさんは嬉しそう。
門というか柵の切れ目から敷地に入ると家までかなりの距離。
いやあれは家ではなくて屋敷だ。
家人だけでは手が回らないので使用人が必要になるような物件。
使用人っていえばメイドさんがふたりくらい欲しいな、などと分不相応な不埒なことに想いを馳せていると、俺に向けるふたりの視線が妙に厳しい。
「こんなお屋敷じゃ三人で管理するのは難しいですね」
「使用人を雇うのは当たり前のことだろう」 さすがリリシアさん貴族のお嬢さま、ときどきその設定を忘れそうになるけど。
「早く屋敷の中に入りましょうよ」 今屋敷って言ったなマユリさん、購入資金があることに浮かれているようですけど屋敷には維持費が付きものなのですよ、忘れてるみたいですが。
屋敷に入るとチリひとつ無い、いかに築二年とはいえ入居者無しの屋敷がこの状態はおかしいでしょう。
なんとなくオチが読めたので、邸内を捜索。
居ましたよ、すやすや寝てますよ、ベッドに、メイドが。
メイド服の背中に小さな羽が見えたので、何となく勇者候補が関係してるような気がしてきた。
アッチの世界の定番コスプレ衣装っぽいし。
とりあえず捕縛ですかね、ベッドにすやすや眠るメイドに男が飛びかかるのはアレなのでふたりにお願いしてみました。




