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17 宿
涙目のまま勢いよく食べ続けるマユリさんとそれを慈愛に満ちた表情で見つめているリリシアさんを残して二階の部屋へ。
自分の荷物を『収納』に入れて、彼女たちから預かっていた荷物を例の小部屋へ。
『他の部屋にいきます』と一筆残してから一階受け付けへ。
宿の人に頼み込んで何とか階段脇の小部屋を借りることに成功。
あっちの世界だったら布団部屋とか言うんだろうな、などと考えながらお風呂場へ。
幸いにして彼女たちとは出会わずに男湯に到着して温泉を堪能、いや混浴イベントなんてそうそう起きませんって。
美味しい食事と最高の温泉、ご機嫌で戻ってきたら部屋の前に例のふたりが。
「どうしてここなんだ」リリシアさん、殺気出さないで。
「話したいこといっぱいあるんですけど」マユリさん、みんなの迷惑になるから夜は静かにね。
「今日はもう夜も遅いので、明日じゃだめですか」
「「おやすみなさい」」
この旅で初めて何かに勝利出来たような気がする。
明日の問題は明日の俺に任せよう。




