14 三日目夜
良い事も悪い事も、特にイベントは無し。
王都周辺で注意すべきは魔物ではなく、金持ちの馬車狙いの盗賊だとリリシアさんから聞かされて警戒していたが、襲ってくる盗賊も乗せてくれる親切な馬車も無くただひたすら歩いた。
夕方、野営の準備をしている時にふたりから注意を受けた。
「「少しペースが早すぎます」」
リリシアさん「もう少しペースを落として慎重に進んだ方が良かろう」
マユリさん「もう少しペースを落として景色を楽しみながら進みましょう」
姫さまたちの仰せのままにと頭を下げたら、頭をぽんぽんと叩かれた。
顔を上げると、ふたりとも真剣な表情でこちらを見つめている。
これは叩いた方がどちらかを当てると何らかのご褒美が貰えるイベントに違いないと思い悩んだ末、マユリさんを指差してみた。
「ハズレです」とマユリさん。
リリシアさんを指さすと、口元をむずむずさせながら首を振った。
「正解はリリシアさんの手を持ってわたしがぽんぽんさせたです」
「不正解なので今日は私たちが夕食を作ります」
正解したらどうなったのかは教えてくれなかった。
夕食のメインはお肉。
と言っても、干し肉の塩気を洗い落として野菜と一緒に鍋の中で転がしたもの。
と、酸味があるソースをかけた野菜サラダ。
とても美味しかったのでそれぞれの料理の担当を知りたいと尋ねてみた。
「クイズ2問目いきますか」とわくわく顔のマユリさんと真剣な表情のリリシアさん。
答える前に降参したら、罰ゲームとして今日は早めに寝てくださいと言われたので早々に退散した。




