第三章 その
風呂は共用、トイレも一箇所のみ、玄関に入ったらすぐ食堂で、一階は玄関と食堂と風呂、それから管理人室のみ。
2階も部屋が3つとトイレだけ。
周りは背の高い樹に囲まれていて、川と池、竹林もある、和風というか、田舎というか、個人的には好きだ。
部屋が足りないため、おてあらいくんとステルスさんは相部屋になったらしい。
疲れていたというのもあってすぐに眠ってしまった。
朝起きたあと、食堂へ向かう。まだ日が昇って間もないのに、妖精さんは準備をし終えていた。
「おはようございます。」
といって深々と頭を下げたので、僕も「おはようございます」と返した。
食堂には既におてあらいくんが居た。もう食べ終わった様子で、お茶を飲んでゆったりしている。
席に着いた頃に、ステルスさんが階段を降りてきた。僕は挨拶と軽いお辞儀をしたが、返答はなかった。
「食べ終わられたのならウォーキングでも如何でしょうか。この辺りは蚊もいないですし、季節の割に涼しげもあっていいですよ。」
妖精さんがそう提案する。おてあらいくんは立ち上がって、
「ちょうど俺もそういう気分だったから、ちょうどいいね。」
と言って出て行った。
そういえばまだ1人...
「壱月さんはまだ起きてこないんですかね?」
「ふふ、あの方は前来た時もそうでしたよ。いつもお寝坊さんなんです。」
そういえば今回は3回目だと言っていた。他2回もそうだったのだろう。
「うわぁぁぁぁっ!」
その声が聞こえたのは外からだった。