ティオ視点
前世の夢を見るようになったのは、2年前からだった。
最初は、それが前世の夢だなんて思いもしなかった。
毎回違う内容の夢に、毎回出てくる同じ人。
色素の薄い茶髪の猫っ毛がふわふわ揺れる。
いつも楽しそうに洋服の話をしている。
時には少女、時には女性。
夢を見るたびに年齢も服装も髪型も変わる。
――誰?
俺の感情を揺さぶる君は、誰?
彼女の描いたデザイン画を見て驚いた。
この世界にはない、でも、俺が夢で見たことがある洋服のデザインの数々。
――なぜ?
目の前にいる彼女は、夢の中に出てくる彼女とはまるで外見が違う。
すごく綺麗な顔立ちをした少女で、年齢を重ねればもっと魅力が増すだろう。
彼女は、魔族と人間が手を取り合える世界を目指すために洋服を作りたいと言う。
面白いかもしれない。
デザイナーの血が騒ぐ。
彼女のデザイン画に触発されたかのように、デザインが頭に浮かぶ。
俺自身、特に魔族に確執があるわけでもない。
少し偏見はあるかもしれないが、それも魔族と人間のハーフだという彼女と話しているうちに消えた。
「いいよ、俺も手伝う」
「え!?いいの!?」
驚いた表情から、花がほころぶような表情に変わる。
「嬉しい!ありがとう!よろしくね、ティオ!」
「うわっ!?」
彼女が飛びついてくる。
本当に嬉しそうな顔。
少し胸が高鳴る。
――この笑顔のためなら頑張るかいも、あるかな。
柄にもないことを心に思った。