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王子と私の友人は相性が悪いようです


「久しぶりだな」


屋敷でティオと洋服の打ち合わせをしていると、ラインツとエリオールがやってきた。


「あれ?今日、来る日だったかしら?」

「ラインツが行きたいって」

「おい」


2年経っても、2人の屋敷訪問は続いていたし、私との仲も続いていた。


ラインツは背が高くなり、王子の風格が出てきた。

表向きは“優しくて気品のある王子”として通っているらしいが、本来の性格は違うということを屋敷の人たちは知っている。

まあ、外では女の子たちに相当人気があるらしいけど……。


「虫が寄り付かないTシャツ、いいね」

「でしょ!?絶対売れるわ!」


私の隣にエリオールが立つ。

そう、一番変わったのは彼だ。


鎖骨まで伸びたさらさらの髪が、私の頬に触れる。

白いブラウスにジーンズがよく似合っている。


どこからどう見ても、仲の良い“女友達”。


「おい、エリオール。近い」

「なに?ライ、嫉妬?」

「違う」


エリオールは、女性と間違われてナンパされるほど美しく成長した。

そして、服装も女性らしいものを好んで着ている。

前世の世界では、女性らしい服装をしている男の人は珍しくなかったが、この世界ではとても珍しい。

今でもエリオールを奇異の目で見る人は多いが、彼はこのスタイルを断固として貫いている。

彼の服のほとんどは、私がオーダーメイドで作ったものだ。

女性らしいスタイルのデザインを男性の体格でも着られるように、色々と工夫している。



「イーラ、これ」

「あ、お茶会の案内状。もうそんな時期なのね。」

「……俺も行く」


ラインツからお茶会の案内状を受け取る。

毎年2、3回行われる、王家主催のお茶会。

ただで美味しいものを食べられるという、ラインツの甘言に乗って参加している。

というのは建前で、王族と友好関係を築いておくために参加しているというのが本音だ。


「ティオもお茶会好きよね。なんだかんだで毎回参加してるじゃない」

「お前は呼んでないから来なくてもいいんだぞ」

「絶対行く」


ティオは私がお茶会に参加するとき、毎回一緒に来る。

どうやらラインツはそれがあまり気に入らないようで、お茶会の件になると火花を散らしている。

最初はどうにか2人の仲を取り持とうとしたけれど、ことごとく上手くいかなかったので、最近は半ばあきらめかけている。

もしかしたら、2人は馬が合わないのかもしれない。


「あ、そうだ。2人が来たのにお茶を用意するのを忘れてたわ。ちょっと待ってて」


ピリピリした空気を和ませるため、お茶を入れようとしたが、肝心の茶葉が切れている。


「茶葉を切らしてたみたい。下から取ってくるから待ってて」


3人にそう言い残し、茶葉を補充するために、1階へと向かった。








「お茶会に招待したのはイーラだけなんだが?」

「でも、俺も行く許可は得ている」

「お菓子ならここに持ってきてやるから、少し遠慮しろよ」

「別にいらない」


イーラがいなくなってすぐ、王子が文句を言い始めた。


王子の魂胆はわかりやすい。

お茶会に魔族と人間のハーフであるイーラを誘って、仲の良いところを見せつける。

人間と魔族の架け橋として、2人は仲良くしていて、政略結婚もあり得る。

そういう印象を貴族の家々に見せつけることで、面倒な縁談を避け、余計な権力争いが起こらないようにする。

そういう狙いが王家にはあるのだろう。


そして、もう1つ。

これは王家というより、王子個人の問題。

王子はイーラを好きなのだろう。

面倒な縁談を避けたいのも本心だろうが、これでイーラを囲い込んで、結婚できればいいとも思っているはずだ。


それだけはなんとしても阻止したい。


俺がお茶会に行くことで、王子とイーラは2人にはならない。

これが意外と大きい効果を生んでいる。


悪いけど、今世は頑張るって決めたから。



楽しみにしてくださってるみなさま、久しぶりの投稿で申し訳ないです…。

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