⑦
……けれども、先のページの言葉は、私自身を表せているが、私自身を現わせてはいない。読者の方には、私が見えていない。だから、弱いのです。
『……綺麗なものは、世界に星の数ほどあるけれど、……私が知っているのはコンセプトだけだ』
……私は、よくこのように考えます。……私たちの世界は、強いようで弱く、弱いようで、底が知れず、把握できているようで、本当のところは何も知らない。それが、世界と私を繋ぐ認識で、そして、それが的確なようにも思えてしまう。
……それは、どこまでいっても一面でしかなく、……それは、どこまでいっても、知らないしかないのです。
……そうですね。……よく、私が自嘲するように思う事柄の一つに、世界の美しいとされる景色の写真……があります。……疑問に思われない方は思われないでしょう。私も、疑問には思いません。……けれど、私は同時に虚しくなる。
……その場所は、このような場所であるという固定されたイメージを人に植え付けた元の写真があり、私は、まだ行ったことのない場所のイメージをその写真で固める。私にとっては、その写真を見ることでそこはそういう場所だとイメージする。その場所をイメージする時は、常にその写真の風景なのでしょう。
それは、嘘ではないそこの場所を写したものだけれど、やはり、その場所に行かなければ、そこがどういう場所なのか解る筈が無いのに。