⑤目が見えない時もある
エッセイのような自らの意見を前面に出すような作品の場合、……個人的に一番気を付けなければならないと戒めていることが一つだけあって、それは、目が見えなくなる可能性があることを心に留めておくこと。
私もよく陥りやすい心理状態なのだが、自分の意見を大事にするあまり、必要な視点を無意識に無視してしまいがちであったり、他者の大事な意見を取り入れられなかったりする。
……無意識ならまだましだ。気づいた時点で直そうとする良心がまだ残っている可能性があるから。……けれど、より恥で最低だと私が自分に対して戒めている心理状態が、自分の意見にしがみつく心理状態や言動であったりする。
私が仮に提示した意見に不備があったとして……、例えば、データが必要な筈の主張にそれが無かったり、例えば、私の意見に矛盾が見つかり、それに対して、頂いた意見に対して、自分の意見にしがみつくあまり、誠意のない態度をしてしまう可能性があることを、能力の低い私は知っているから、そういった指摘がすごく怖い。……怖いけれど、どうなのだろう。せめて、指摘されたことに悩んだり、そのことに対して、反応に苦しんだり、それは、人間的な反応だって私は思う。きちんと答えられなくったって、感想を返すことが止まったって、そちらの方が普通のことだろう?
開き直って、意見を下さった方を曲がった論理で言い返すなんて、恥の上塗りでしかないし、あまりにも自身を下げてしまう行為なのではないだろうか。