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aラストティア ~荒野の楽園編~  作者: 蒼骨 渉
第三章 グオーレ王国
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09 作戦会議

最新話アップです!

カレンと優理の相性はなんだかんだいってバッチリなんですよね~。

今後もこの二人の会話は書いていても楽しくなりそうです。

夜も更けており宿の周りも人の気配がせず静かだ。二階の一室で蝋燭の火が儚げに揺れている。その灯火を互いに挟むようにして二つの影が石の壁に映る。

 二人は気を取り直して互いの探索結果を報告する。

「西側は商業区になっていて、優理も見たと思うが食料を扱うお店や衣類・装飾・家具を扱うお店など幅広くあった。聞くところによると、以前までは食料品や水は配給制で分配されていたらしい。ヒロキチ村長のところで豊穣神の種(ティアシード)豊穣神の花(ティアフラワー)の説明をしたと思うが、必要最低限の量しか摂れないからな。しかし生活が安定してきて、食料以外の物資が必要になってきたあたりから物々交換をするようになり、お金が造られるまでに至ったそうだ」

 お金は価値尺度を測る上で指標となる存在である。また価値を貯蔵することにもその役割を発揮できる。大昔では貝殻がこれに値していたわけだが、このセピア世界においても使われるということは人類の進化の過程に必要不可欠な存在に変わりないのだろう。

「ちなみにどのくらい前からとかって聞いた?」

「たしか半年くらい前って言ってたかな。でも、今ほど便利に使えてたわけでは無かったみたいで、本格的に浸透したのは3週間前くらいかららしい。それがどうかしたのか?」

  3週間前、それは優理が目覚める少し前。きっとグオーレ王国がティアの所持者(マスター)を手に入れた位の時期なのだろう。

何故そんなことを聞くのかと率直な疑問を投げかけるカレン。

「半年前ね・・・・・・。なぁカレン一緒に考えて欲しいことがあるんだ」

 優理の真剣な瞳がカレンにも伝染する。

「ずっと気になっていたんだけど、このセピア世界は一体いつから存在しているのだろう」

「というと?」

 まだ内容が掴めていないカレンに僕は酒場で聞いたセピア世界やグオーレ王国についてのことを話した。

「なるほど・・・・・・、つまり私たちは2年前にこのセピア世界に来ていて、私も優理も約2年間の記憶が無い。グオーレ王国はその2年があったからここまで栄えていた、ということか。それなら辻褄は合いそうだな」

「僕が意識を取り戻してからここに来るまでの約3週間で、これほどに栄えているのはおかしいと思っていたけどこれで納得はいく。ただ、2年間の記憶がないってのはどうしてなのか。グオーレ王国自体は50年存在しているってのはどういうことなのか。新たな疑問も浮上してきた」

 互いに考えを述べるが考えれば考えるほど不思議なことばかりで検討がつかなくなってしまう。

「よし、分からないことは一度忘れておこう。悩んでも解決しないこともある。そのうち解決することを願おうじゃないか」

 優理の悩み癖も付きものだが、カレンのキッパリとした言動も生まれながらなのだろう。いつまでもウジウジ考えてたって分からないものは分からないのだから、前を向いて進むことの方が大切だ。たとえ2年間の失われた記憶があろうとも、やるべきことに変りは無いのだから。

「カレンの言うとおりだな、じゃあ本題に移ろうか」

 優理も即座に頭を切り替える。

 ここでいう本題とはもちろんどうやってグオーレ城に入ってティアの所持者(マスター)を救出するかである。

「話を聞いた限りだと本当にティアの所持者(マスター)が酷い目に遭わされているようには思えないのだが・・・・・・」

カレンが集めた情報によれば、特にグオーレ王国が悪事を働いているという噂は無く、みんな安定した生活が保障されている良い国だということだった。

「たしかに僕も最初はそう思っていたけど、実はこの国の人々はそのティアの所持者(マスター)の存在は知っているのに、誰一人見たことが無いらしい。本来ならば英雄と呼ばれ、みんなの希望として讃えられてもおかしくないはずの存在であるのに、その顔や姿を誰も見たことが無いなんてあり得ないはず。しかも自然の恵みが永久にいつでも取り放題とも国は言っていて、これも本来ならあり得ない。きっと無理をさせられているに違いない」

「そうか、確かにそれを聞くと怪しいな。どこの世界でも権力を持ってしまった者は横暴になってしまうってことなのか、悲しいものだ」

 こればっかしは人である以上避けられない道なのだろうかと疑いたくなるくらいにその通りである。

「まぁ実際に城の中に入って確かめることになると思うけど、入れてくださいって言って入れてくれるほど甘くは無いだろう。だから策を考えてきた」

「ほう、一体どんな策なんだ」

 勇ましい語りで優理がまともに策を持ってきた、なんて言うので期待するカレン。

「ちょうど明日、この国の王子ことチャオス王子の婚約者選定の儀ってのがあるらしい。それに参加して城に招待されようと思う」

「婚約者選定の儀? それはつまり結婚相手を選ぶオーディションをすると?」

「そうだ、そこに僕が推薦者としてカレンを推薦して応募しようと思う!」

 これなら絶対に行けるという確信のうえ自信満々で胸を張る。

「ふーん、なるほど、私が推薦されるってわけか・・・・・・ん・・・・・・はぁ!?」

 カレンは口をがっと開いて驚き顔を近づけてくる。

「ちょっとまって優理! つまり私がそのチャオスとかの婚約者になるかもしれないってことだろ?」

「大丈夫だ、ちゃんとチャオス王子の好みのタイプや服装は調べてきた。カレンならたぶん、いや絶対行ける!」

「行ける!じゃないよ! え?本気?嘘でしょ?好きでも無い男の結婚相手に選ばれるかもしれないオーディションに参加するなんて・・・・・・」

 カレンが嫌がるのも無理はない。そもそもカレンは男性という生物があまり得意では無かった。ましてや婚約者として見定めをされるなんて、創造しただけで寒気がする。

 そんなカレンにお構いなく優理はかなり本気らしく真剣な眼差しだ。

「それ以外にどうやって城の中に入る? これが一番手っ取り早いと思うよ」

「確かにそうかもしれないけど・・・・・・いいの? 優理は私がそのチャオス王子に求婚されても」

 何かしらの運命によって引き裂かれる恋人のようなセリフを、切ない表情で口にするカレン。そこらへんの能なし性欲爆発野郎だったら間違い無く勘違いするレベルだ。

「まぁもし本当に選ばれちゃっても逃げればいいだろ? とにかく中に入ることが最優先事項だ。大丈夫、僕も推薦者として一緒に入れるはずだから」

 カレンは優理の説得にかなり悩んだ末、その作戦を受け入れてくれた。

「もしもの時はちゃんと責任取ってよね・・・・・・」

 責任?さっきから何を言っているのだこのお嬢様は。妄想の色が濃い気がする・・・・・・。あ、そういやイリィが前に言ってたな、カレンは恋愛というジャンルにもの凄い偏見があり疎いって。普段は強い口調なのに時々かわいらしい雰囲気だすから調子が狂うな。

 本当は衣装も用意してきたんだけど、今出すと気が変わってしまいそうだからぎりぎりに渡すことにするか。

 心の中で思考を巡らせながら、頬を人差し指でポリポリとかく。

「じゃあ明日、頑張ろうな。おやすみカレン」

「あぁ、よろしく頼む、おやすみ」

 二人の間に灯る火を吹いて消す。互いに白い布を被り眠りにつく。

 2つのベットの距離はわずか60センチ。隣からかすかにカレンの寝息がスースーと聞こえてくる。こんなに近くに綺麗な女性が寝ているんだ、これが何でも無い日常だったらきっとしばらく寝られなかっただろう。目を閉じると疲れがどっと全身を襲い一瞬で深い眠りに落ちていった。

 あぁ、ニュートン・・・・・・、明日迎えに行くからなぁ・・・・・・・・・・・・。


さて次話ではカレンちゃんの素晴らしい衣装が・・・。

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