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aラストティア ~荒野の楽園編~  作者: 蒼骨 渉
第三章 グオーレ王国
15/60

01 ここは異世界?それとも現実?

遂に第三章までやってきました!!

これからどんどん面白くなるので、ブックマークおなしゃす!

村を出発した優理とカレンは、リングの導く先に従って荒れた荒野を進む。

リングを指にはめると微量な感触の風が指先に伝わってきて、その感じた風の方向にティアの所持者(マスター)が捕らわれているというグオーレ王国があることになるのだが・・・・・・。


「本当にこの方向であっているのかな」

代わり映えしない風景に加え、目に見えて道だと思う道もない。土や岩だらけの砂漠地のような荒野にカレンはだんだん不安になってきていたのだ。

「そうだな・・・・・・」

優理も同じ気持ちだった。

正確な世界地図もないから一体、今どこに自分たちが居て、あとどのくらいの距離で着くかすら分からない。ゴールが見えないというのは人を不安にするものだろう。


この空気をなんとかしないといけないけど・・・・・・、これまで女の子と二人っきりで会話なんてしたことないしどんなことを聞いて良いのか話していいのか分からないなぁ・・・・・・。

そもそもカレンと会ってからまだ三日しか立ってないし知らないことだらけだ。

 優理が頭の中でぶつくさと考えながら歩いていると、

「あのさ・・・・・・」

「えっなに?」

「なんでそんなに険しい顔しているんだ?」

「そんな険しい顔してた?」

「してたぞ」

どうやら考え事をしているときの優理の顔は怖いらしい。


「あの、えっと・・・・・・。考え事してたんだ。この空気をなんとか和ませられないかなって。でもあんまり会話というかなんて話して良いか分からなくて、ほらカレンとも会ってからそんなに日も経ってないだろ? 知らないことだらけでさ」

 優理が胸の内をさらけ出すとカレンはぷっと軽く噴いて笑う。

「なんだそんなこと考えていたのか。もっと深刻な悩みでもあるのかと思ったぞ」

「ごめん」

 カレンは空を仰ぎながら「うーん」と悩む素振りを見せた後、何か閃いたように指を立ててこちらを向く。

「じゃあ、改めて自己紹介するってのも変だからお互いに質問しあうってのはどうかな?」

「あ、それいね」

 カレンの気の利いた提案に大袈裟に首を縦に振ってみせる。


「じゃあ私から、優理は・・・・・・好きな子、彼女とか居たのか?」

こちらを伺いながら若干言いづらそうにカレンが尋ねる。突拍子も無い質問に優理は純粋に驚いてしまう。頭の上でごろごろしていたニュートンもピクンと身体が反応した。


「なっ・・・・・・急になんだよその質問!」

「その様子だといない感じだな」

 指先を優理に向けてくるくるさせながらカレンが言った。

「ぐ・・・・・・、おっしゃる通りですよ。彼女どころか現実の世界では友達すら居なかった。あまり人となれ合うのは得意じゃないんだ」

 なぜか胸をなで下ろすニュートン。

「そうなのか? 私はそんな風には感じてなかったが」

「まぁ自分から話しかけるってことはしないだけで、話しかけられる分には受け答えくらいはできる」

「ほう、そうだったのか。次は優理の番だぞ。苦手な話しかけるの頑張ってくれ」

軽くおちょくってくるカレン。そんなカレンに仕返しの如く同じ質問をかぶせる。


「じゃあ、そういうカレンは彼氏とかいたのかよ」

「ずるい! それ私がした質問ですわ!」

「き、気にすんなよ。で、どうなんだ」

「い、いないですわよ・・・・・・」

「そ、そうか・・・・・・」

 互いに互いを気になっているのに、素直に慣れない幼馴染みの男女みたいな雰囲気を演出してしまった二人。それを振り払うようにカレンが突っ込みを入れる。


「反応薄っ! もっとなんかちゃんとした反応しなさいよ!」

「どんな反応が正しい反応なんだよ! ってイタイッ!?」

急にニュートンが優理の髪を引っ張った。

「ほら優理がちゃんとフォローしないからですわよ」

「いや違うだろ! なんで怒ってるんだよニュートン」

優理が聞くもニュートンは知らんぷりして頭から肩を通してポッケまで降りていった。


気を取り直して優理は真剣な顔で質問をする。

「あのさ、カレンはこのセピア世界やティアについてどのくらい知ってるんだ? 僕よりティアの使い方については詳しいみたいだし」

「前にも言ったが私の記憶も曖昧でな、優理に教えたこと以外で知ってることはもう殆ど無い。自然(カラー)が失われたセピア世界で唯一の希望であるティアの所持者(マスター)。世界を救うにはこの世界のどこかにある楽園で聖杯に祈りを捧げること。もちろんティアの所持者(マスター)全員で」

「七つのティアの頂点に立つ者として世界を救う」虹色のティアを手にした時【神】という存在の何者かに言われた言葉を思い出し口にする。

「七つの頂点ってことは私たち二人の他に六人のティアの所持者(マスター)がいるってことになるな」

「世界を元に戻すために、まずはその六人を見つけ出すことからだな」

 自分たちがやるべきことの目標が見えてくるとそのために頑張らなきゃって気持ちなれる。優理は少し気持ちが楽になった気がした。しかしカレンは少し違った様子で、

「あのさ、やっぱり気になることがあって。イレイザ達のことどう考えている?」

 村を出る前からカレンは気にしていた。イレイザのような敵の存在を。


確かにこの世界が元の人間の世界なんだとしたら、イレイザや骸骨兵士みたいな異世界やゲーム世界にしかいないような存在は異色。一体どこから生まれてきたのか、人類の敵なのか味方なのか? 目的はなんなのか? わからないことだらけである。それともう一つ・・・・・・。

「カレンの赤のティアは火を扱うことができるんだよな?」

「そうだけどそれがどうかしたのか?」

「イレイザが使っていたあの爆発って、一種の火なんじゃ無いかと思って。ティアの所持者(マスター)以外にも自然の力とか魔力とか扱えるやつがいるってことなのかなと思って」

「確かにティアの所持者(マスター)は唯一の希望とか言われているのに、他にも使える者がいるっていうのはおかしいな」

「同じ系統使いであっても分からないってことか・・・・・・。そもそもセピア世界自体が現実では無い異世界って可能性もありえるか・・・・・・。だとしたら対等な力を持った悪役的存在?」

「つまり魔王的な存在もいるってことか?」

「その魔王を倒して世界を救うのが僕達ティアの所持者(マスター)・・・・・・。ありえなくはない」

「神の言葉には魔王のような存在をほのめかす言葉は一切無かったはずだが」

「たしかに神の言葉にはなかったし、村長は明らかにもとの世界の人間だ。つまり現実にいた人間」

「それは私と優理も同じでしょ?」

「そうなんだけど、完全に異世界なんだとしたらNPC的な存在に現実世界の人間が混ざってることになる」


 優理が知っている限りの異世界冒険ファンタジーでは、そもそも異世界=現実で生きている設定を除けば、大抵異世界転生・転移するのは主人公格になる人物や大量生産型の勇者であり、何でも無いただの村人や商人も現実世界の人間ということは少ないのだ。

「そうだとしたらこの世界は?」

「異世界のような現実世界、そんなとこだろう」

優理は真剣な口調で答えた。

「異世界のような現実世界? それって単純に異世界なんじゃないの?」

「え?」

「え?」


お互いに何がおかしいのと言わんばかりのへんてこな「え?」を発する。

この間とへんてこな音が頭の中を反芻すること数秒、ついにカレンは耐えきれずに大きな声をだして笑い始めた。

「な、なにがおかしいんだよ!」

優理は恥ずかしくなって声を荒げる。

「いや、なんかおかしくってさ。そんな真剣な顔して『異世界のような現実世界』だっってっ・・・・・・」

腹を抱えて笑うカレン。相当つぼに入ったのだろう。


「だってそうだろ! 完全に異世界ってわけじゃないけど異世界のような感じなんだから、異世界のような現実世界であってるだろ!」

「わかったって、そんなむきにならなくて良いから」

「むきになんてなってないし」

ムスっとして優理は顔を背ける。

「ごめんって、まぁまだ分からないことだらけだから、今やるべきことをやろう」

優理は顔を背けたままコクンと頷く。

考えたって仕方の無いことも有る。問題は以前解決したわけでは無いが、二人の不安は確実に和らいでいることだろう。


主な登場人物


・優理(主人公) 虹色のティアマスター

・カレン 赤色のティアマスター

・イリィ 赤のティアの精霊守護

・ニュートン ハリネズミ

・自然の楽園にいる美少女


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