私は被害者
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「私が魔法を使えるようになったのは本当に偶然で……友田くんだって……殺したくて殺したわけじゃない!」
桐生さんの話を聞いて、僕たちは閉口した。この場の誰しもが彼女を責めることはしなかった。同情だってしているはずだ。
「そう……だったんだね。誰にも理解してもらえなくてつらかったよね」
静寂を破ったのは僕だった。それを耳にした彼女はその場で泣き崩れてしまった。
正直なにを言えばいいのか、果たして同情することが正しいことかはわからない。
けど彼女も僕と同じ巻きこまれた側の人間だ。なりゆきで魔女になり、なりゆきで同級生を殺してしまった。全部彼女が望んでやったことじゃない。
僕があの場でサラサの息の根を止めていれば、こんなことにならなかったのかもしれないと思うと……なおさら責められなかった。防ぐことができた悲劇かもしれないのだと思うとなおさら。
「あなたがどんなふうに過ごしていたか……充分にわかったわ。全部あなたが望んでやったことじゃないこともね」
愛梨彩が僕の顔を一瞥する。なにも言わずに、ただ頷いた。彼女は悪い魔女じゃない。なら、僕たちが行うことは一つだ。
「さっきも言ったように私たちはあなたを保護するわ、桐生さん。あなたはそれで構わないかしら?」
「……はい」
愛梨彩の言葉に桐生さんが頷く。ひとまずこれで学園の魔女探しにピリオドが打たれた。ハワードの目論見通りとまではいかなかったが、新たな魔女の保護に成功しただけでも充分だろう。
だが――
「その女がサラサの魔術式の継承者か」
どうやらあちらも簡単に引き渡すつもりはないらしい。屋上の扉の前に立つ、二つの人影。咲久来とアインだ。
「なるほど、最初からこの瞬間を狙っていたってわけ。野良の私たちを泳がせておいて、サラサの魔術式の継承者を探し出したところで掻っ攫う。相変わらずの汚いやり口なのだわ」
「そういうことだ」
アインの火球が真っ直ぐ僕たちへと迫る。こちらが無防備な状態でも容赦なしか!
「ヒイロ!」
「おうよ!!」
身を呈して守るように緋色が火球の前へと躍り出る。そして――彼の背中に手を押し当てるように立つフィーラ。
「『昇華魔法:緋閃の雷神』!!」
瞬時に赤い雷神が現れ、火球は間一髪のところで戦鎚に弾き返される。
「え……? なに……? 誰……?」
状況がわからない桐生さんが完全に取り乱していた。このままだと、せっかく見つけた彼女が危ない。僕は応戦を試みようと鞄に手を突っこんだ。中には――ケースとローブ。
「アリサたちは今のうちに逃げて! こいつらの相手は私たちがするから!」
「退くわよ、太刀川くん! 今は桐生さんの保護が先」
敵は……二人。数はこちらが有利だが、桐生さんを守りながら戦うのはリスクが大きい。
なにより愛梨彩と離れれば僕はまともに戦闘ができない。ならばここは二人に任せよう。逃げるが勝ちってやつだ。
「あとは頼んだ!」
鞄を持って愛梨彩へと駆け寄る。僕がたどり着いた途端すぐに彼女は『渦巻く水球の守護』を張り、そのまま宙へと逃げていく。
二人の姿がどんどん小さくなっていく。今は……二人に任せるしかない。なんとか凌いでくれ。緋色、フィーラ!
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