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ゼロの魔女騎士《ウィッチナイト》  作者: 鴨志田千紘
第3章 学園の魔女
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真相・黒衣の魔女の正体

続きはカクヨム(https://kakuyomu.jp/works/1177354054887291624)の方で先行して掲載されております。

興味のある方は是非そちらでも読んでみてください。

感想、レビューなどもお待ちしております!

 悠々と学食で食事をする魔女が二人。一人は相変わらずのラーメンを。もう一人は焼肉定食を食していた。

 こっちは購買の惣菜パンで済ませたのに、随分と羽振りがよさそうじゃないか。……というより、二人も聴きこみが思うように進んでいないのだろう。


「愛梨彩、フィーラ!」

「今、食事中なのだけど?」


 威圧するように睨みを効かせる愛梨彩。フィーラも同様に訝しげに見ていた。どうやらどちらも食事の邪魔をされるのは嫌いらしい。


「じゃあ、話を聞いてるだけでいいから」


 そう言って、愛梨彩の隣の席に座る。緋色もフィーラの横に座った。


「サラサの魔術式を継承したやつが見つかった」


 二人の箸が同時に静止した。


「随分と急ね。そんなにパッと現れるなら今まで苦労していなかったと思うのだけど?」

「いや、そもそもこの学園に魔女はいないんだよ」


 再び箸を進めようとしたその刹那、愛梨彩とフィーラの動きが止まる。流石にことの重大さを気づいたのか、二人は一旦箸を置いた。


「どういうことなの、レイ。最初から説明して」

「わかった。まずはこの動画を見て欲しいんだけど」


 スマホを取り出し、件の放送事故配信を二人の魔女に見せる。


「これは黒乃魔孤っているバーチャルライバーの配信なんだけど……えっとバーチャルライバーっていうのは絵のキャラに声を当てて生放送をする人みたいな感じで」

「そんなに気を使った説明しなくていいわよ。見ればなんとなくはわかるわ」

「そ、そうか」


 現代文化やサブカルチャーに疎い愛梨彩のために色々説明しようとしたが、見ただけでだいたいわかったらしい。流石の順応性だ。


「で、問題なのはここ」


 スマホをスワイプして、例の「魔法が発動した」タイミングまで動画を飛ばす。


「確かにこの破裂音……女子が簡単に出せるものではないのだわ」

「けど、細工すればできなくもないことでしょう? 魔法と断定するのは早計じゃない?」

「じゃあこの黒乃魔孤が成石学園の生徒だったら?」


 二人が顔を上げ、目を見張る。驚くのも無理はない。僕たちは全く予期せぬ方法で継承者を特定したのだから。


「うちのクラスには友田のほかにもう一人……学校からいなくなった生徒がいる。名前は桐生睦月。五月から不登校になった生徒だ。そして彼女がおそらく……黒乃魔孤の正体だ」

「不登校の生徒が魔女……どうりで学園を探しても見つからないわけね。この動画の投稿タイミングもちょうど八月……ありえなくない話なのだわ」

「けど、桐生睦月が友田礼央を殺す理由はあるの? 大人しい子だったと思うけど」


 愛梨彩が言うように問題は——動機だ。どうして殺したのかという深い理由は僕たちには推理できない。けど《《きっかけ》》ならはっきりとわかる。


「……あるよ。言っただろ、友田は誰から恨まれててもおかしくないって。友田はああいう大人しい子に対しておちょくるように絡みにいくから。自分より下のやつだと思って見下しているんだ。だから、それが引き金になったって考えることはできる」


 発端は些細なこと……だったのかもしれない。けど嫌な思いをしたというのは充分な理由になる。それが鬱積ならなおさらだ。本当はどうにかしたいと思っててもどうにもできないジレンマを抱えていて、爆発するタイミングが遅れてやってきただけなのかもしれない。


「弱い者いびりね……最低な男子なのだわ」

「そういう時は必ず友田に絡みにいって対象を俺に変えようとしたりしたし、井上が遠ざけるようにしてたからなんとかなってたけど……もしかしたら俺らが見てないところでもあったのかもな。不登校になった原因もそうかもしれねーし」

「桐生睦月が友田を嫌う理由は充分……ということね」

「ただ……」

「ただ?」


 愛梨彩が促すように僕に尋ねる。全員の視線が僕へと集まる。僕の主観的な意見だが、どうしても言いたかった。


「桐生さんが人を殺すようには思えない。繊細だけど、周りをよく見ている人だったから」


 思い出すのは一年の調理実習の時の記憶。いつの間にか誰も手をつけてなかった仕事を済ましていて、周りの人間をよく見て動いているんだなと思った。


「それは魔術式を継承する前の話でしょう? 継承しておかしくなったって不思議じゃないのだわ。その時は覚悟しておいた方がいいわよ?」

「それはそうかもしれないけど……」


 フィーラの言葉が突き刺さり、耳が痛かった。反論が思うようにできなかった。


「ともかく、まずは桐生睦月の確保が先よ。ハワードに連絡して住所を調べてもらうわ。彼女が狂っているかいないかは……話を聞いてから判断しましょう」


 相手は魔女……正気を失っている可能性もある。自分が覚えているたった一つの記憶はいとも容易く壊されるかもしれない。その時は……覚悟を決めるさ。

 それでもまずは対話からだ。愛梨彩以外の僕たち三人は首肯した。


続きはカクヨム(https://kakuyomu.jp/works/1177354054887291624)の方で先行して掲載されております。

興味のある方は是非そちらでも読んでみてください。

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