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ゼロの魔女騎士《ウィッチナイト》  作者: 鴨志田千紘
第3章 学園の魔女
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意外な発見

続きはカクヨム(https://kakuyomu.jp/works/1177354054887291624)の方で先行して掲載されております。

興味のある方は是非そちらでも読んでみてください。

感想、レビューなどもお待ちしております!

 それからさらに三日が過ぎた。金曜日になっても成果はなし。今のところ魔力を帯びた怪しいやつというのは学校には見当たらない。

 流石に一週間ずっと聴きこみをしていたら聞く相手も尽きてくる。昼休みの真っ只中だが、教室から動こうとは思えなかった。


 気だるげに机に突っ伏した。今日もあの夢を見た。「ずっと隣にいる」と誓ったのに。悪夢には一向に慣れる気がしなかった。

 おもむろにスマホを取り出し、動画を開く。僕が所持する唯一の手がかりは黒乃魔孤というバーチャルライバーの配信動画だけだ。

 愛梨彩にあんなことがあった後だったから、未だにこのことは報告できずにいた。なにより証拠らしい証拠がない。あるのは僕の直感だけ。普通の配信者の動画なら証拠として充分だが、アバターを使用した配信ではなにが起きているのか音から推測するしかない。


「やっぱり考え過ぎかな……誰の声かもわからないし。推しが乱心しただけ。うーん……」


 平常時の声がわかるかと思い、黒乃魔孤の雑談放送を眺めていた。特徴的な声というわけでもないし、作ればこんな声は誰でも出せるのかもしれない。

 小林の「誰かに声が似ている」という発言が気になり、こうして暇な時は配信を見返しているが……本当に似ているだけの別人かもしれない。黒乃魔孤が学園の生徒なら秋葉に住んでいるということになり、ブレイクスルーになる……という淡い期待は今にも打ち砕かれそうだ。

 やはりこの放送は薬物放送と割り切るしかないのだろうか。それはそれでファンとして悲しいことなのだが。


「なにサボってるんだよ、黎!」


 突如緋色が僕にのしかかり、スマホを覗いてきた。


「いや……実はこのライバーがどうも怪しいんだよね。少し前に『魔法が使える!』みたいな配信しててさ。もちろん嘘かもしれないとは頭でわかってるんだけど……どうも気になって。時期も被ってるし」

「なるほど要するに刑事の勘ってやつだな」

「誰が刑事だよ」


 緋色が一旦離れ、後ろの席から椅子を引っ張ってくる。一緒に見ようとしているらしい。


「ふーんどれどれ」


 見やすいように緋色の方にスマホを傾ける。正体を探るためにライバーのアバターを見る必要がないのはわかっているが、なんとなくそうしてしまった。

 音声だけで内容を追う。確かこの回は視聴者から寄せられてきた都市伝説を紹介する放送だったはずだ。黒乃魔孤が定期的に行なっている内容の一つだ。都市伝説が好きなんてよっぽどのオタクなのだろう。

 ふと隣の男が気になる。先ほどから終始無言を貫いている。緋色はこういう動画でもなにかしらのリアクションをしたり、友達と話しながら見るタイプの人間だ。その彼が黙っているということは……怖い都市伝説でも聞いてしまったのだろうか?

 心配になり、声をかける。


「どうしたの緋色? 黙ってさ」

「こいつ桐生じゃん」

「は?」


 衝撃の名前が彼の口から飛び出した。僕は思わずぽかんと口を開ける。

 キリュウ……桐生……うちのクラスの桐生睦月だと?


「いや、ほらこの声! 桐生睦月だろ、ぜってー!」


 スマホのスピーカーに耳をつける。抑揚がなく、ゆっくりとした声。マイク越しだからはっきりと聞こえるが、現実だと意外とボソボソと喋る感じになるのかもしれない。

 桐生睦月の声を思い出す。関わりはあまり少ないが、一年の調理実習の時に一緒の班だったはずだ。おずおずと「太刀川くん……これ、やっておいたから」と切られたジャガイモを渡された時の記憶がまだある。

 記憶の声と動画の声がオーバーラップする。——間違いない。この声の主は桐生睦月だ。

 小林に聞き覚えがあったのは一年の時同じクラスだったからか。そういえばオタク同士だからかたまに彼女と話していたような覚えがある。


「緋色、愛梨彩とフィーラは?」

「食堂じゃね?」

「すぐにいこう。みんなに説明しなきゃ」

 僕らは教室を出て、食堂へと駆けていく。


続きはカクヨム(https://kakuyomu.jp/works/1177354054887291624)の方で先行して掲載されております。

興味のある方は是非そちらでも読んでみてください。

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