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ゼロの魔女騎士《ウィッチナイト》  作者: 鴨志田千紘
第2章 魔女は己が欲《エゴ》のために踊る
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river bridgeの死闘/インターリュード

続きはカクヨム(https://kakuyomu.jp/works/1177354054887291624)の方で先行して掲載されております。

興味のある方は是非そちらでも読んでみてください。

感想、レビューなどもお待ちしております!

*interlude*


 橋の上で一台の車が炎上している。運転手はもう息絶えているだろう。全く、こんな夜中にこの橋を通るルートを選んだのは不幸としか言いようがない。

 その近くには薄気味悪い紫の髪をした魔女が佇んでいる。二宮綾芽である。


「ぬしさんたちを泳がせておこうと思ったんでありんすが……まさか人形狩りとは。待っても乙なことなんてなかったでありんすね、貴利江さん」


 綾芽がそう語りかけると炎の中から岩の鎧を纏った武者が現れる。


「申しわけありません。自分の進言が間違っておりました綾芽様。即刻排除すべきでした」

「それで私を狙いにきたということか」


 ここ一週間綾芽の動きはなく、一方的な伏兵掃討作戦が続いた。不気味に思ってはいたが……このタイミングできたか。狂った魔女は随分遊びに飢えているようだ。


「弱いお人から倒すのは当たり前でありんしょう、ソーマさん?」

「私が弱い……か。随分と甘く見られたものだな。だが、お前たちの判断は正しいよ」

「そうでありんしょう?」


 綾芽たちは敵の頭を討ち取りにきたわけだ。私が倒れれば作戦の継続が困難になるだろう。実に合理的な判断だ。

 私は魔導剣を引き抜き、魔札スペルカードを展開。戦闘態勢へ移行する。


 やつのスレイヴの報告は受けている。茶川貴利江——岩の鎧で強化された身体能力を武器に戦う近接タイプのスレイヴだ。おそらく剣であの鎧を削るのは至難の技だろう。

 貴利江が戦闘する際、綾芽は加勢しないという報告も受けた。確かに私を倒すのなら数で押せばいい話なのだが、彼女はその手を使わない。鵜呑みにするわけではないが……信憑性はある報告だ。


「お喋りはしまいにしんしょう。では……死んでくんなまし」


 岩石の鎧武者が豪速で突撃してくる。やはり狙いは接近戦か。


「『光線乱射フォトン・ガトリング——アルタイル』!」


 魔札スペルカードを手に取り、放つ。カードが光線の弾幕となり、貴利江を襲う。


「その程度の攻撃……自分には通じません!」


 しかし突撃の勢いは止まらない。目前に迫った鎧兵は腕を振り下ろし、殴りかかってくる。


「面倒な鎧だな……全く」


 上方へ跳躍して躱し、そのまま下に向かって『光線狙撃フォトン・ライフル——アンタレス』を放つ。今度は一部を破損させることに成功したが、致命傷には至らなかった。

 そのまま距離を取りつつ、着陸する。今の応酬で威力の低い遠距離魔法は有効ではないことがわかった。となると——八神くんと太刀川黎の戦法をマネさせていただくとしようか。

 私は二枚の『アクセル』のカードを手に取る。一枚はそのまま使い、もう一枚は剣にスキャニングする。短く電子音が響き、刀身が軽くなる。


「今度はこちらから攻めさせてもらうぞ!」


 私は跳躍し、瞬く間に貴利江の目の前に到達する。そのまま通り抜けるように一太刀浴びせ、再度跳躍。ヒット&アウェイを繰り返し、手数で攻める。


「やはりそうきますか」


 鎧武者は打って変わって防戦一方になる。いくら同等のスピードでも徒手空拳はリーチで劣る。このまま一気に鎧を毀れさせてやろう!


「その戦い方は見飽きんした。芸がないでありんすね」


 綾芽が不穏な動きを見せる。手に持った魔本を開き『草のつる 絡め巻きつき 武器となれ』と詠唱する。

 変化が起きたのは貴利江の右腕部。そこには草のつるが巻きつき、垂れ下がっていた。


「振り払います!!」


 貴利江は垂れ下げたつるを手に握り、その場で体を独楽のように回転させる。つるはしなって鞭と化し、全方位へ牙を剥く。


「がはっ!」


 範囲攻撃を避けきれず、私の体をいとも簡単に吹き飛ばされる。だがここで追い討ちを許すわけにはいかない。飛ばされながらも牽制するように『光線狙撃フォトン・ライフル——アンタレス』を放つ。

 光線は鞭に命中し、消し炭にする。しかし——


「無駄です」


 つるは瞬時に生え変わり、再生した。

 私は体勢を立て直す。光線では傷つかず、近づけば鞭に捕らえられてしまう。


「残された手は……一つか。あまり使いたくはないのだがな」


 ——ならば一瞬で方をつけてしまえばいい。


 ケースから一枚のカードをドローする。


「ここで仕留めます!」


 向かってくる岩の弾丸。そのまま直進させるのを許すわけにはいかない。私はカードを正面ではなく、宙に放る。


「『光線弾雨フォトン・レイン——アルクトゥルス』!」


 上空に現れたのは恒星のように輝く光球。そこからたちまち拡散した光線が降り注ぎ、貴利江へと襲いかかる!

 同じ拡散弾でもアンタレスとは範囲も持続時間も違う。お前はその光線を避けざるを得ない。


「これがあなたの本気ですか!」


 断続的に降りしきる光線の雨を貴利江は踊るようにステップを踏みながら掻い潜ってくる。


「そんなわけないだろう。それは次の手のための布石だよ」

「まさか」

「突進をやめた時点で私の術中にはまっていたんだよ」


 私の手にはすでに別のカードが握られていた。これこそ一撃必殺のカード。注力するのに時間がかかるため、時間を稼ぐ必要があったということだ。


「しまっ——」

「これで終わりだ……! 『光線大砲フォトン・ランチャー——アルデバラン』!」


 放たれたカードは自身にこめられた魔力を暴発させるように砕け、中身を吐き出す。橋を埋めるほどの巨大な光線が鎧武者に襲いかかる。

 爆煙が辺りを覆い、視界を遮った。これだけの範囲攻撃なら避けられまい。——かと思ったその時だった。


「倒したと思いんしたかえ? 残念」

「な!?」


 煙の中から伸ばされた草のつるが私の体を捕縛していた。これだけの攻撃を受けて鎧が無事なわけがない!

 やがてつるの先が露わになる。そこには無傷の貴利江の姿と転がり散った石塊が。


「風情のないことしないでくんなまし」


 おそらく綾芽が防壁を張ったのだろう。となると加勢した理由は自ずと限られてくる。


「なるほど、狂った魔女はもっと観戦していたいということか」


 綾芽は愉悦のために動いているようだ。最初の介入は見飽きた戦い方だったから。そして今の介入は戦闘が終わってしまいそうになったからだ。


「そういうことでありんすえ。けど……これなら邪魔しない方が乙でありんしたかね?」


 草の鞭は両腕ごと食いませるように絡みつき、生半可な力では解けない。これでは魔札スペルカードの発動すらできない。


「弱いお人は面白うありんせんねぇ。ああ、わっちを本気にさせてくれるお人はどこにいるのでありんしょう?」

「もう勝ったつもりでいるのか、お前は」

「あら、まだ負けを認めてないのでありんすか? なら……貴利江さん、一思いに殺してくんなまし」

「御意」


 捕縛し動かなくなったターゲットにとどめを刺すように岩の小手が飛来してくる。口では威勢よく強がってみたが……正直万事休すだ。


 ——そう私の力では手詰まりなのだ。


 情けないことに私はここで倒されるしかない。だが……世界とは絶えず書き換わっていくものだ。数多ある未来のうちの一つを選択し、今の行動を変えていくのだ。


「ソーマが……いない!?」


 小手は虚空を穿ち、彼方へと消えていく。貴利江は周囲を見渡して私の姿を探している。

 そう——私はそこにいない。《《彼女》》は空間を歪ませたのだから。


「残念だがそなたたちの思い描く未来は掴めない」


 強く、そして美しく女性の声と靴のが響き渡る。


「へえ……ぬしさんが」


 黄金に輝く髪をなびかせ、《《彼女》》が姿を現わす。彼女の名は——アザレア・フィフスター。そう、ほかでもない我が主の名前である。


 *interlude out*

続きはカクヨム(https://kakuyomu.jp/works/1177354054887291624)の方で先行して掲載されております。

興味のある方は是非そちらでも読んでみてください。

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