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ゼロの魔女騎士《ウィッチナイト》  作者: 鴨志田千紘
第2章 魔女は己が欲《エゴ》のために踊る
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友との再会

初めてこの作品を読む方へ

騙されたと思って第6部まで読んでください。あなたを物語に惹きこみます。

最後に向かっ たのは『常勝軒』という店だった。駅前のビルのテナントに入っているラーメン屋で、部活帰りに一番訪れた店だ。緋色と通っていた日々が懐かしく思える。

 「名前の響きから験担ぎに訪れるかもしれない」というのが愛梨彩の推理だった。なんでもフィーラは日本語が達者で、漢字の意味もある程度わかるのだとか。

 果たしてここにフィーラはいるのか。成石学園前の駅を通り抜け、常勝軒のある通りへと向かう。

 店が目の前に見えるその時だった。見知った二つの人影が言い合いをしているのが見えたのは。


「俺? 緋色。勝代緋色。あ、わかった! お嬢ちゃんさてはナンパだな! 『私だけのヒーローになって』って感じのやつ?」

「ちが、そうじゃない!」

「いやいやお兄さんをからかうもんじゃないぜ、おませさん?」

「お兄さん!? あなたの方が年下よ!?」

「まーたご冗談を」


 一人は銀色の髪をツインテールにした少女——フィーラ・オーデンバリ。

 もう一人はラケットバッグを担いだ長身の青年。のらりくらりと軽口を叩いているのは間違いなく——彼だ。


「緋色!? どうしてここに!?」


 久しぶりの再会でつい大きな声を出してしまった。本当は彼がここにいてもなんらおかしくないのだ。だって彼は平穏な世界で今も生きているのだから。


「黎……? 黎じゃんか! 心配したんだぞ、おい!」緋色は駆け寄ってくると、僕の肩を小突いた。「学校こなくなったからどうしたのかと思ったわ。連絡もつかないしさ。ってかあれ? なんか雰囲気変わった? 遅咲き高校デビューってか?」

「ごめん、色々あって。スマホもなくしちゃってさ」

「いやでもよかったよ。幽霊じゃないみたいだしさ。レイだけに」


 久しぶりに会った友人のマシンガントークは止まらなかった。相変わらずのしょうもないギャグだが、今は別の意味で笑えない。ごめん、緋色。マジで死んでるんだ僕。


「なんであなたがフィーラといるのかしら?」


 僕と緋色の会話に割って入るように愛梨彩が問う。


「え、九条じゃん。え? なに、お前らそういう関係だったの? 二人揃って学校こなくなったと思ったら、そういう? 愛の逃避行的な?」

「太刀川くん……話、まとめて。まさかこんなに話すのが面倒臭い相手だとは知らなかったわ」

「え、あ、はい」


 愛梨彩は肩を竦めてため息を吐く。同じクラスだったとはいえ、話す機会がなかったから知らなかったのだろう。緋色のコミュ強ぶりは僕でも相手が疲れるんだから。


「えっとまあ、僕たちのことはそう思ってくれて構わない」

「ちょっと!」

「魔女のことなんて話せないでしょ。これが一番手取り早いんだ。実際、居候してるんだし」


 声を荒げる愛梨彩に耳打ちをする。ここで余計な言いわけをするよりも緋色が興味を持つことを事実として話す方が都合がいい。彼はよくも悪くもノリに流されるタイプの人間だ。


「お前も隅に置けないなあ。こいつぅ」再び緋色が僕を小突く。「で、用があるのはあっちのお嬢ちゃん?」

「うん。僕たちはフィーラを探してたんだ。緋色は彼女の知り合いなの?」


 後ろにいるフィーラは黙ってこちらを睨んでいる。

 もし知り合いだったら彼はすでに争奪戦に巻きこまれたことになる。魔女とは無関係でないことになる。それだけはあってはならない。彼は一般人のままでいるべきなんだ。


「彼女とは……」閉ざしていた口が開かれる。「知り合いといえば知り合いだなぁ」

「え?」


 予想の斜め上をいく回答で思わず口がポカンと開く。知り合いといえば知り合いって……なんだその曖昧模糊な回答は。


「立ち話もなんだし、場所を移動しない? あなたたちは話をするために私を探してたんでしょ?」


 話の流れを断つようにフィーラが言う。確かにこんな往来のど真ん中で魔女の話をするのは気が引ける。

 愛梨彩を見やると無言で頷いていた。


続きはカクヨム(https://kakuyomu.jp/works/1177354054887291624)の方で先行して掲載されております。

興味のある方は是非そちらでも読んでみてください。

感想、レビューなどもお待ちしております!

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