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ゼロの魔女騎士《ウィッチナイト》  作者: 鴨志田千紘
第2章 魔女は己が欲《エゴ》のために踊る
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ラーメン屋 てつ

初めてこの作品を読む方へ

騙されたと思って第6部まで読んでください。あなたを物語に惹きこみます。

 チャーハンを食べに勢いできた三軒目。「ラーメン屋 てつ」。僕らはテーブル席でその瞬間を待っている。


「ここはラーメンも美味しいけれど、チャーハンも有名なのよ」

「フィーラさんはチャーハンも好きなんですか……?」


 恐る恐る愛梨彩にフィーラのことを尋ねると、なぜか一秒フリーズする。今、絶対フィーラのこと忘れてただろ。


「それはもちろんよ。だから彼女がこの地域で一番チャーハンが美味しい店にこないわけがないと思ったのよ」


 周りを見渡してみる。ピークを過ぎたからか客は少ない。無論、フィーラもいない。


「ほんとかなぁ?」


 ここまで二軒空振りだった。ここを外せば空振り三振でアウト。辛味噌ラーメンで食欲をブーストしたとはいえ流石に僕もお腹が膨れてきている。次の店でラーメンを食べれるかはかなり怪しい。

 なんとしてもここで決定的な証拠を握りたいところだ。頼みますよ、ラーメン探偵愛梨彩さん!


「はい、お待ち。チャーハンと餃子二人前ね」


 小太りの店員が頼んでいたチャーハンを運んでくる。それはまるで黄金の宝玉のように輝いていた。この色味……絶対うまいに決まっている。

 チャーハンはシェアするために一人前、それと一緒に食べる餃子は一人前ずつだ。チャーハンを一人前食べずに済むのはありがたかった。


 本日三度目の「いただきます」。ちゃんと二人で斉唱する。

 まずは餃子を一つ賞味する。餃子はいわゆるパリパリのタイプではなく、柔らかい。その分味のインパクトは凄まじく、食べ終わった後の息が少し気になりそうな勢いだ。

 続いてチャーハン。しっかりパラパラとしたご飯に、一口食べただけでもわかる味の濃いチャーシュー。チャーハンはパラパラさだけでなく、チャーシューの味も重要なのだと改めて思い知らされる。このままだとどんどんレンゲが進んでいってしまいそうだ。

 そして、お次は同時に食べる。箸で餃子を口に放った後で、熱々のチャーハンをレンゲですくって流しこむ。パラパラとした食感の中にニンニクのしっかりとした味が包まれ、ハーモニーを奏で始める。この、味が中和されていく感じ……ああ、やっぱりチャーハンと餃子は——


「やっぱりチャーハンと餃子は最強の組み合わせね」


 僕の感想を代弁するように愛梨彩が言葉を漏らした。


「それな。チャーハン食べる時は餃子だよな」


 珍しくてついつい相槌を打ってしまう。


「太刀川くん、あなたなかなかわかってるじゃない」

「褒めてもなにも出ないよ」


 そう言ってお互いに微笑むと、再び箸を進める。ニンニクの力というものは偉大で、さっきまで腹が満たされていたはずなのにチャーハンの山はすっかりなくなっていた。これだったら一人前でも余裕で食べれたかもしれない。


「ごちそうさま。お会計をお願い」


 愛梨彩がレジへと赴く。僕も彼女の後を追う。


「はい。二〇九五円になります」

「あの、この店に銀髪の女の子きませんでしたか? 外国人だからわかりやすいと思うんですけど」


 愛梨彩が支払いをしている間に店員に聴きこみをする。相手はさっき品を運んできた小太りの店員だ。


「いやぁ見てないですねぇ。外人さんなら接客した時のこと覚えているはずだし」

「そうですか」

「ごちそうさま。いくわよ、太刀川くん」


 先に出た愛梨彩を追って暖簾をくぐる。店外には気落ちしたように肩を落とす愛梨彩がいた。


「この感じだとまだラーメンの食べ歩きしてないんじゃないか? 今日は出直した方が……」

「そうね。でも最後に一軒だけ見ていきましょう」

「いや……でももうお腹がパンパン」


 つけ麺、辛味噌ラーメン、チャーハンに餃子。これだけ食べるとちょっときつい。運動部だったとはいえ限界がある。


「わかってる。店内を覗くだけにするから」


 本当にそれで済むのだろうか。今までのノリノリなテンションを見るといささか疑問である。けど、とことんつき合うと決めたのはほかでもない僕だ。


「じゃあ、最後の一軒いきますか」


 終わりなきラーメン屋探索。どうか次のラーメン屋にフィーラがいますように。


続きはカクヨム(https://kakuyomu.jp/works/1177354054887291624)の方で先行して掲載されております。

興味のある方は是非そちらでも読んでみてください。

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