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第二王子が拐われた!?

作者: すとろん
掲載日:2018/10/07

ここは王城。

建国王の遺伝子を継ぐ者たちが住まう豪華で綺羅びやかな場所。

その場所に似合わない黒ずんだ外套に身を包んだ男が暗闇の中で城壁をトカゲのようによじ登っていた。

定期的に巡回している見張りの隙をつき、窓から城内に侵入した。


その日、次期王だと持て囃されていた第二王子アルベールが失踪した。


第二王子には、自分の三つ年の離れた兄がいた。この国の第一王子アグニスだ。第一王子にも王位継承権は与えられていたが、あまりに凡人…いや、第二王子の非凡なる才覚のせいで第一王子の才覚が霞んでしまっていた。そのため、今回の失踪事件は王になれない第一王子が第二王子を殺したのではないか、ともっぱらの噂であった。


第二王子が失踪したことで混乱に陥った王城内の一室に、現王の野太い声が響き渡った。


「皆の者、静まれい!」


個々が思い思いの発言をしていた場が一瞬にして静寂に包まれた。


「今回の第二王子の失踪、第二王子の独断によるものか、誰かの手によって誘拐されたのか、まだ何も調べがついておらぬ! 今しがた、捜索隊を編成して真相の究明に向かわせた! 以後、確かな情報がもたらされるまで憶測で物を言うことを禁ずる、いいな!」


現王に忠誠を誓っている貴族たちは一斉に敬礼し、一人ずつ退室していった。

全ての貴族が退室した後、一人の少女が勢いよく扉を開け入ってきた。


「お父様、アル兄様はご無事なのですか!?」

「セリア、うかつに一人で行動するなと言っただろう! お前も狙われているのかもしれないのだぞ!」

「ご心配ありませんわ、お父様。私を誘拐するものなど軽く撃退してやりますわ」


恐怖を微塵も感じさせない笑顔で言い切ったこの少女は、セリア王女だ。第一王子、第二王子の義妹で、少年少女格闘技大会で優勝した経験を持つ武闘派王女だ。


「刺客がお前の見た目に騙されればいいのだがな…はぁ…」


セリア王女の外見は、彼女の経歴とは裏腹に小柄でおっとりとした雰囲気を纏った美少女だと言うのだから人は見かけによらないものである。


「まあまあ、お父様。セリアはアルベールのことが心配なんだよ。僕も今すぐアルベールを探しに行きたいくらいだ」


父娘の言い争いの間にもう一人、第一王子アグニスが入ってきた。


「ならんならん! 国王としても父親としてもお前たちを外に出すわけにはいかん! 今は部屋でおとなしくしているのだ!」


問答無用で部屋に帰らされつことになったセリアは道中で呟いた。


「もう、お父様ったらアル兄様を探しに行かずにじっとしていろ、だなんて。全く酷いですわ」

「仕方ないよ。お父様は国王である以上、国民を第一に考えて行動しなければいけないんだ。身も蓋もない言い方をすれば、周辺国との戦争の回避だね」

「それはわかっていますけど…むぅ…」


アグニスが宥めるも、まだ納得がいってない様子のセリア。そうこうしているうちにセリアの部屋にたどり着いた。

部屋の前に一人の騎士、扉を開けると一人の従者が待機していた。


「それじゃ、セリア。しばらく大人しくしているんだよ」

「もう、アグ兄様まで!」

「君には、高熱を出して危ない状況だったのに友達と遊ぶといって抜け出した前科があるからね。いくら心配しても足りないよ」

「あぅ…」


ほっぺを膨らませて抗議するも、あえなく撃沈したセリアであった。この二人が作る甘い空間にはそばにいる騎士と従者も苦笑いであった。


それから数日が経った。

事態に何の進展もなく、どんよりとした空気が王城全体に広がりつつあったが、その日、変化が起こった。

見るからに怪しい服装をした男が一枚の紙を門番に手渡した。その紙には「第一王子アグニスと王女セリアの二人のみで所定の場所に来たらアルベールは返してやる」と書いてあった。

その紙を受け取った門番はすぐに上にこのことを報告した。

それと同時に各地に散らばせていた捜索隊から、王都西部の廃墟の一角に第二王子の目撃証言があったとの報告があった。

紙の情報が本物であるとわかった国王とその側近たちは、緊急会議を開いた。


まず、王の右腕でもある国王補佐が口を開く。


「門番が受け取ったという紙、そして捜索隊からの情報により第二王子は西の廃墟にいることで間違いなさそうですな」

「しかし、条件は第一王子と王女の二人だということですが…」


誰かが王を見ながら小さい声で呟く。王は、目を閉じ、腕を組み、沈黙を貫いていた。


「…」


条件を無視して誘拐犯を叩き潰すのは簡単だが、そうすれば第二王子が殺されるのは誰が見ても明らかである。

誰も解決策が思いつかず、沈黙がしばらく続いた。


「いったいどうすりゃいいんだ…」


沈黙に耐えきれかった誰ががつい零してしまった言葉。その言葉も消えてしまうかと思ったが、それに反応した人物がいた。


「お父様! 話は聞きました! 私とアグ兄様が行きますわ!」


両開きの扉が壊れんばかりの力で、ドバーンッ、と五月蝿いくらいの音とともに王女セリアがズカズカと入ってきた。その後ろからしれっと入ってくるアグニス。

セリアは、国王の前まで歩き、胸を張って言った。


「お父様! 私ができないことなんて今までにありまして?」


王様は、ゆっくりと目を開けた。


「そうだな」


たった四文字の返答。そこには絶対的な信頼が詰まっていた。


「アグ兄様! 行きましょう!」


そう言ってアグニスの横を通り去っていくセリア。


「それでは、お父様。行ってまいります」


優雅に一礼した後、セリアの後を追うアグニス第一王子。




それから数時間、第二王子アルベールは二人によって無事救出された。第二王子が誘拐された理由は、捕らえた敵の幹部がペラペラと喋ってくれた。

それによると、今回の首謀者は隣の国の国王であった。隣国王曰く、姫がこんなにも強いとは思いもしなかった…、だそうだ。


奇しくも、王様の希望的観測は成功したようだ。


第二王子誘拐のことで隣国王との和解条約もスムーズに行われ、我が国に有利な条約が結ばれた。そして、第二王子アルバートが王に即位し、アグニスは国王補佐としてその優秀な能力を活かし、理想的な王国を築いた。


王女セリアは、本人希望もあって成人後、王国騎士団の特別顧問に就任した。そして、当時の団長と恋仲になったという。



その王国は、優秀な王様、屈強な騎士団、豊かな国民によって長きに渡って繁栄したそうな。


コメディっぽく書きたかった。

おかしいところや表現不足などございましたらご指摘お願いします。

感想とかも書いてくれると泣いて喜びます!

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