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ともに滅びる夢を見る(300字SS)
――持っているだけで、不幸になる。
そんな私を救ってくれたのは、妖艶な美女。
吸血鬼を模した私に似た、憂いの瞳の主が、優しく囁く。
「死なぬ私を、苦しませてね。呪われた、美しき同族の人形よ」
……それから、百年ばかりが経っただろうか。
主は、家を焼かれ、同族に裏切られ、人間から杭を打たれた。
私のせいか、主が望んだゆえか。
だが、なにがあってもその身体は蘇生し、代わりに他者の死骸を積み上げていく。
「あなたの呪い、期待以上よ。……だから、いつか壊れるまで、もっと不幸を呼び寄せて?」
生きることに飽きながら、孤独を嫌う、主の言葉。
――だから私は、より強い不幸を願う。
私を認めてくれた主を、自分と共に、失うため。




