双子山【前編】
今回は『』多用してます
私は願う。
秘桜の復活を。
私は頼る。
私を知る唯一の人物を。
……伝承通りの高さね。不死の山をも越えるくらい…ね。
小さな声で呟く私。『現世』と呼ばれる世界に居た私は、双子山と同等の山を見たことがある。その山も、登るのに苦労した覚えがある。
流石に歩いて山を登るのは日が暮れてしまうので、まだ日が沈まぬうちに討伐しておきたい。尻尾を持って帰るのは、労力がかかる。私は本体の上に跨り、山の上を目指す。最初のうちはすいすい飛べていたが、途中で、
キンッ…
何かによって弾き飛ばされてしまった。バランスが取れず、落下していく私。あ、これって一番最初に戻されるんじゃないかな…?そう思った矢先に
「みゃぁあああああああああああああああああああああああ!!!!」
すっとんきょうな声を上げて落ちてしまった。辺りを見回すと、そこはやはり元いた場所。少しだけ手を掲げ、霊力探知を行う。結界が張られていないかを探る為だ。だが、何も反応が無い。もう一度、手を掲げてみる。すると、電気が流れるような反応があった。やはり、この山には…
『強大な妖力の持ち主が住んでいる』
チリン、という鈴の音と共に聞こえた少女の声。私ははっとなり、周りを見渡す。そこには人どころか、虫一匹すらいなかった。ここまで動揺するとは…。まさか、一瞬聞こえた少女の声が、懐かしきご主人様の声に似ていたなんて、思いもしなかった。
話を戻そう。私が先程行ったのは『霊力探知』と『妖力探知』だ。
人間の『霊術師』や私たち『神』は皆、一般的に『霊力』を使う。中には例外もいるが、放っておこう。霊力で霊力を探せば、力同士がぶつかり、同じ音を発するため、『共鳴』という現象が起こる。『共鳴』しているかどうかで、何が仕掛けられているか、誰がどこに居るのかが分かる。だが、『妖力』といった力とは共鳴できないため、見逃してしまう、という欠点がある。
『妖力探知』は『霊力探知』の真逆だ。ただし、一部だけ違う。人間や神は本来『妖力』を持っていないので、霊力を微量な妖力に変えて探知する。妖を敵とみなす人間たちにとっては便利な術だが、妖力に変えるのに必要な霊力が多いため、滅多なことでは使わない。能力階級が『肆』や『伍』の人間は、それ相応の霊力を持つため、連続使用しても問題は無い。
私が行ったのは『妖力探知』の中でも上位の『妖探知』だ。妖気を感じるだけではなく、妖怪がそこに居るかどうかも知ることができる。妖探知は妖の妖気の強さによって反応が違う。小さな人魂や邪鬼であれば、流れる反応は振動程度だが、妖狐や西洋の輩となると電気が流れるくらいの反応が出る。
電気の様な反応が出たということは、間違いなく強大な妖怪がいるということ。簡単に狩るのは難しそうだ。
私は少しだけ溜息を吐きながら、山へと入っていった。




