98話、母親と兄
一回ほどデータが全部ぶっ飛んで最初から書き直しになったのはとってもとっても辛いお話。
「ん、見ての通り元気だ、まっ、左目は無理だったがな」
「そうか...良かった、のか?」
『左目に眼帯をつけてる...カッコいい!』
「眼帯ってかっこいいの?」
「え?なん...うん!かっこいいよ!」
『なんで僕の考えていることがわかったんだろう?』
するとガチャッとまた扉が開いて2人の男女がやってくる。
「ここにいたのか!」
「良かったわ!」
少年は後ろを振り返って、
「お父さん!お母さん!」
「っ!」
『なんでしょう?この感情__』
そして少年の両親は言う、
「君が例のけが人か...予想外に幼いのに左目を失ってしまうなんて...」
「な、何か左目を失った時の記憶なんてないの?」
「...う、うーん...」
《っぷ!あはははっ!羊みたいだ!》
《〈記憶消去〉!!》
《ご主人、鑑定をすれば良いのです》
《ご主人様!》
《ヒガン姉ェ!》
《ヒガンお姉ちゃん!》
《おい、岸野!何寝てんだ?今は授業中だぞ?》
《お、おい!なんか光ってるよ!》
《えぇ?!普通こう言うのって国外追放じゃないの?!》
「............」
『私の中にいる2人の男女、男の方は黒髪黒目、女の方は赤髪赤目、この人は一体...それに...』
「あー嫌な事を思い出させちゃったかな?空とも何も思い出せなかった?」
「大丈夫、」
そう答える、実際の所結構厳しいが
「そう...まぁ、こんな狭い村だもの、新しい住人が増えるとなったら大ニュースよ!」
「そうだな、もっと増えないかな〜」
そう少年のお父さんが言う。
「嫌よ、ここはこんなのどかな感じがいいんだから」
少年のお母さんが反論を送る。
「ハハッ確かに」
そう言うと扉に向かって3人は歩き出す、その途中で、
「「「それじゃあね!お大事に!」」」
そう手を振って去って行った。
ガチャッ、
「ん?どうした、元気ないぞ?」
「い、いや...何でもないです」
「うーん、お前もしかして...」
『記憶がないから親の記憶もない、なら自分に両親がいなくて少し寂しい気持ちにはなるか...なら、私が母親になってあげようかな?』
「本当!?」
ヒガンは声を上げる。
「なっ...ってそれがお前の能力だったな、その能力はあまり人に見せないほうがいいぞ」
「え、でも勝手に人を見るだけで分かっちゃうんだもん」
『常時発動型か...』
「じょうじ?はつど?」
私は首をかしげる。
「あぁ、じょうじはつどう、いつも発動しているタイプの能力だ、そんな事よりもそろそろお前の兄が帰ってくるはずだぞ?」
「え?!私の兄?」
私は口を大きく開けて言います。
「あぁ、何てったって今は君のお母さんだからな...っとは言っても名前がないのは不便だな...」
『うーむ、やはりここは私が考えるべきだな母親として』
『あ、そういえば記憶の中でヒガン?って人ときしの?きしの...騎士さんか!その2人が呼ばれてたな...何だったんだろ』
「決まった! 」
『名前が決まったぞ! 15秒ぐらい考えた名前が!』
「うわっ! 」
メラフィナ先生が急に叫んだせいで私はびっくりしてしまいました。
「お、驚かせないでください! 」
「す、済まない...だがここで名前の発表だ! 」
『う、こんなことを言ったが心を読まれてはいないだろうな? 読まれていたらこんな感じに溜めるだけ無駄だからなぁ』
『大丈夫です、まだ見えませんよ、まだ』
「名前は、ルミアーナ・アルティメディスだ!」
「アルティメディスとは?」
そう言うとメラフィナ先生は得意げに答える。
「私の家名だな」
「なるほど...これで私も先生の家族ですね!」
そう言うとまたもやガチャッと音を立て扉が開けられる。
「母ちゃんただいま!」
だいたい小学4年生ぐらいの背の高さの少年が来て...
「あれ?この子って...患者?」
「いや?君の妹だよ?」
「え?えぇぇぇぇぇ!!!」
その叫び声は村中に響き渡ったそうな。
〜次回予告〜
「 99話、兄と妹の真剣勝負? 」
次回はちゃんと明日に出したい。
《上の文を信用するでないぞ》