97話、能力とは
「心を読むねぇ...そんな事より左目は大丈夫なの?」
『正直見るからにダメだけど...』
私は首を傾げながら答える
「左目ですか?特に先ほどから異常はないですが...」
「いや...じゃあこの指は見えるかしら?」
そう言ってメラフィナは本来左目があれば見える筈の所に指を置いた。
「...?普通はそんなところは見えませんよ?」
「はぁー、やはり左目と記憶を失っているようだ」
『本当ならあの場所は見えるはずなのだが...』
正直、怖くなる。
「ど、どう言うことですか?私は他の人よりも視野が狭いのでしょうか?」
メラフィナはため息を深く吐いて少し不満の感情が入った声で言う。
「だからさっきから言ってるだろう?君には左目」
ここでメラフィナは自分の左目に指を指す。
「そう、これが無いんだ」
狼狽える
「そ、そんな筈が...人間にはちゃんとある筈なのです...」
そう言うとメラフィナは立ち上がってそこら辺にあった切れ味の良さそうなナイフを持ってきて...
「これを鏡がわりにしてくれ、あいにくうちに鏡はないのでね」
そして私はそのナイフを受け取って鏡がわりにしてみて見る。
すると...本来...メラフィナや子供にもある左目のところには、真っ黒な穴が空いているだけだった。
「っ!?」
『な、ない!』
「はぁー今気づいたのかい?まぁ、それは流石に直せないから適当に眼帯でもしてなさい」
「適当って...わかりました?」
眼帯をつけると違和感は少しなくなった。
「それにしても...能力ってなんなんですか?」
私が聞く、すると...。
「ふふふっ、実は昔私も同じ疑問を持ったことがあってね、調べたことがあったのさ」
『教えてあげようかな?どうしようかな?』
「教えて下さい、」
そう言うとメラフィナは怪しく笑い始める。
「ふふふっ、意外とおもしろ話さ、能力の正体は病気さ」
「病気?」
正直意外な答えだったので目を乗り出して話を聞く。
「そう、病気、この世界のどこかにある洞窟の一番奥にある超巨大な魔石から発せられる魔力が能力の根源だ」
「魔石...魔石って?」
「魔石というのは伝説上の存在の物質で魔力100%で出来た石の事だ、しかも魔力100%だから魔力でどのような形にも、することが出来るらしい」
「らしい、なんですね」
そう言うと、言葉を止め息を整える。
「まぁ、伝説上の存在だからねー」
「ですねー」
そう話を盛り上がらせていると、
コンコン、
私が入っていた部屋の扉がノックをされる。
「大丈夫?!」
そう言ってメラフィナを呼んでくれた少年が心配で扉を力強く開けた。
〜次回予告〜
「 98話、母親と兄 」
次回もお楽しみに!
多分明日か明後日に投稿されると思う。