92話、メイドインウェルホルム3
ガチャ、
中に入ってすぐそこに受付らしきカウンターがあり、そこに髭を生やしたドワーフのような人族の男がいた。
「おう!らっしゃい!珍しいな女子がこの店に来るなんて」
「あはは...ちょうど近くにあったので」
そう少し苦笑いしながら私は答える。
「まぁ、ここは野郎が多いが野郎専門じゃねぇ、ゆっくりしてけよ?...っと、しまった...また一泊銀貨何枚か言い忘れてたぜぇ」
『それにしても久々に女子の客が来たな...ゆっくりして1日の疲れを癒しておけよなぁ?身体が弱そうな奴もいるし......って!一泊何円か言い忘れてたな...確か...一人銀貨3枚だったかな?』
『えーっと、私、アリス、ルナ、ソレイユ、ノアール、アルト、ノル...7人って事は一泊全員で銀貨21枚か...』
「5泊ぐらいしますね...えーっと何円だ?」
アルトが悩む。
『21×5=105』
「大体銀貨105枚だよ?」
私はもちろん元・高校生なのでこのぐらいの計算は朝飯前だ。
「「ご主人(様)...計算速いですね...」」
アリスとノアールが息ピッタリに大体同じことを言う。
「...なんだその意外そうな顔は」
『相変わらず仲良しだな...』
「我がご主人は意外と博識であったか...」
「適当に嘘言ってるだけじゃねぇーの?」
『まずその速度の計算はあり得ないし』
アルトが言う。
「100...101...102...103...104...105...いや、坊主、この赤髪の嬢ちゃんが言ってる事はあってるぜ、105枚だ一個も間違っちゃいねぇ」
「「「なっ、」」」
アリスとノアールとアルトが同時に驚く。
「...まぁ...とりあえず...部屋行こ?」
「そうだね」
「おっと、話し込んじまったな、すまねぇ、で、銀貨は...」
ジャラァァ、
「これで良いはずだよ」
「うん、良いな、それじゃあ205号室と204号室だ、ゆっくりしてけよ〜」
「「「「「「はーい」」」」」」
「はーい...」
私たちはその後カウンターの隣にあった階段を登って部屋に入り、男子は205号室、女子は204号室に泊まることになった。
そして...みんなが寝静まってた時の事。
『ヒガン・スティクス...いや、岸野 赤花...お前は強い、だがまだ本気を出せていない』
そう、私の頭の中で響いた。
〜次回予告〜
「 93話、メイドインウェルホルム4 」
明日のお昼に投稿?