165話、タイムトラベラー8
はぁ、遂にここまで来たんだなぁと感じます。
「「「っは!!」」」
気がつくと私達は時を巻き戻されたようだ。
ただ1つ違う点といえばノアールとルナが記憶を失っていないと言うことだけである。
「ん?ルナ、ノアール、忘れていないのか?」
「えぇ...そうみたいですね」
「私にもよく分かりません...」
「ふっふっふっ...」
相手が笑い出す。
「何がおかしい!」
そう私は叫びながらも、ルナに小声で
「終ノ世界の発動準備お願い」
『分かりました』
そんなやりとりをしていると、相手が能力を発動させる。
『〈虚無回帰〉!!!』
ついにさっきまで灰色だった球体がまるで夜のように黒くなっていた。
「これで!!うっ!!」
『く、くるじぃ...ああぁぁ!!!』
いきなり真っ黒な球体は脈打ち、じわじわと大きくなりはじめた。
「ああああああぁぁぁ!!!」
『頭が!!!割れるように痛い!!!!』
なぜかは知らないが相手も苦しんでいるようだ。
「ご、ご主人...なんかヤバそうです」
「いや、ノアール...私が思うに《なんか》ではなく《物凄く》と訂正しておきたい...」
「うん、私もルナの意見に賛成...まぁだからとは言ってあの黒い球の対処には至ってないんだけどね...」
そう言って私達3人は徐々に大きくなって行く黒い球を見つめる。
「ノアール、あれの広がる方向を変更できる?」
「いや、何となくだけど...失敗に終わりそう」
『何というか...概念?』
「あぁ、私の大弓でも無理だろう、逆に拡がらせてしまうのではないだろうか?」
「ううっ、うぉぇぇぇ!!」
『気持ち悪い........』
相手は地面に座り込み、嘔吐する。
「ご、ご主人、今のうちに相手を倒してしまいましょう!本体を倒したらきっとあの黒色の球体も消えるだろうし」
『正直自信ないけど』
『〈混沌武具〉!大弓!』
パシュッ!
グサッ!!
ルナの大弓は見事に相手の頭を撃ち抜く。
が、黒色の球体は無くなることはなかったし逆に黒色の球体の大きくなる速さが速くなった気がする
「...ん?速くなった?」
「いや...気のせいじゃないです?ご主人」
「やっぱそうか...」
やはりいつものあの音声が聞こえて来る。
『【能力の自動発動を開始しま...ま、ままままSU NOURYOKUWo■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■しっぱい】』
「うわっ!!」
『っ!?』
よく見ると相手の下半身が真っ黒な球体に飲み込まれていた。
そして、飲み込まれて行くごとに黒い球が大きくなる速度が速くなる。
「に、逃げるよノアール!!」
「えぇ!そうしましょう!」
「あれはまずい!まずい!!!」
3人で叫びながら部屋から出て長い階段を下る。
「「「ハッハッハッハッ...」」」
3人とも息切れをして今にも止まりそうな体に鞭を打ち思いっきり走る。
その頃黒い球は...1mmまで小さくなっていた。
「えぇい!!」
『〈透明物質〉!!ハンマーのような形で壁を壊せ!!』
バァァーン!!
「「っ!?」」
ルナとノアールが驚く。
「ここからノアールの方向加速で逃げよう!」
「えぇ、そうですね、皆さん僕に捕まってください」
「わかった...」
私とルナでノアールに捕まる。
プツッ、
「た、大変です!ウリエル様!世界番号1593572580の時間軸がめちゃくちゃに!」
「な、何?そんな事ごく稀にしかなかったじゃないか...」
そう言って私は立ち上がり部下が観測している世界番号1593572580番の時間軸計測装置を見る。
正直今まで埃をかぶっていたはずの機械だ。
「な、何だこれは...並行世界69、異世界人が来たという設定の時間軸が別の並行世界に行き来して...いや、新しい並行世界を作り続けている?今までも何度かはあったがここまで回数が多いのは...」
そう言って私は並行世界数を横目で見る。
そこには19999997、と書かれていた。
「はぁ!?どういう事だ!?正常な数より8...いや、10も増えているじゃないか!!」
確かにたかが10、と思う人もいるかもしれないが増えているのは世界、世界というのはひとつ保存するのに莫大なデータ量がいる。
「世界番号1593572581の2068年で言うところの量子コンピューター15台分...と言ったところか、はぁ、あの世界も進み過ぎだ...」
ブッー!ブッー!ブッー!
パッパッパッパッ...
「おい...これは」
「嘘だろ...そんな」
『ブザーが三回、赤いライトの4回の点滅...ははっ、私が生きている間に見られるとはな...』
時間軸計測装置に写っているグラフのすべての時間軸が1つの線になる。
ゴクリッ、
誰かの唾を飲み込む音が聞こえる。
ギュぅぅぅぅ...
その1つに集まった線が画面下にガクッと落ちて、そこで途切れる。
「ウリエル様...これは」
「あぁ、私も見るのは初めてだ、時間軸崩壊現象...いわゆる世界の終わりだ」
そう言って私は後ろを向き歩き始める、しかしとある者の一言で私は立ち止まる。
「ウリエルッ!!世界番号1593572580が崩壊したのか?な、なら...神力配布性魔力石...あれはどうした?」
上司のガブリエル様が私に問いかけてきたのだ。
「なっ...あれは...ジャンヌ!!」
「はいはい〜、えーっとですねぇ...あー、叫ばないで聞いてくださいよ?」
「わかったわ」
そう私が答えると、ジャンヌはオドオドと話し始める。
「どうやら世界崩壊時に発生した衝撃波の影響で世界転移を果たしたらしく...世界番号1593572580から世界番号1593572581に...転移した、世界番号が一番近いのでそう考えるのが妥当かと」
そのジャンヌの言葉を聞いて私は後ずさる。
「そ、その世界番号1593572581ってあれよね?」
「えぇ、私、ジャンヌ・ダルクの故郷の世界...通称地球です」
「やはりか...場所は?」
「南海トラフの最奥地にオールディンシールドを展開しながら神力配布性魔力を放出中です...」
「そいつを消すのは?」
私はダメ元で問いかけて見る。
「...無理です、もし消したとしてももう意味がありません、もう、世界中に広がってますからね...」
「...そうよ!わかったわ世界番号1593572580が滅びた理由、時間操作系能力の時間戻し...よ、せめて時間操作系神力配布性魔力を捕獲できないかしら?あれの数は少なかったはずよ」
そう言うと後ろを向いて機械を操作し始める。
「分かりました...うぅ...おりゃッ!!できました!」
「ナイス!!じゃあそれを...2つに割って見てくれないかしら?」
「え?良いですけど」
そう言いながらジャンヌはまた機械を操作し始める。
そうして2つに割る。
すると...
「加速系神力配布性魔力と減速系神力配布性魔力になったのね?ならそれで解放して良いと思うわ」
「分かりました」
そう言ってジャンヌは赤く四角いボタンを長押しして2つの神力配布性魔力を解放する。
「まぁ、これで良いでしょう...良いのかな?」
私はそう思いながら今までの仕事に戻った。
〜次回予告〜
そんなものは存在しない、世界が終わったからな
今まで読んでくれた方々本当にありがとうございます。
物凄く続けられたな〜と、常々思いますね、はいでは締めくくって今まで読んでくれた方、ブックマークをしていただいた人達に全身全霊の感謝をッ!!
なんかよくラノベの最後に書いてあるやつを真似して見ました!
きっとすぐに次回作を投稿するのではないでしょうか?
かりんとう