164話、タイムトラベラー7
遅れました。
本当に遅れました。
遅れました。
かりんとう
「成る程...つまりここでは時が巻き戻せず、ここから出るにはお前を1発でもいいから殴ればいいと...」
「チッ、」
『やっぱり聞こえてたか』
ダッダッダッ!
相手がこちらに向かって走ってくる。
『こんな時にあまり攻撃用の能力じゃないことが悔やまれるなッ!!〈虚無回帰〉!5つ!!』
バッ!!バッ!!バッ!!バッ!!バッ!!
私たちの周りに薄黒い球体が出てくる。
『吸引モード!!』
「「っ!?な、風?」」
「2人とも!吸い込まれるなよ?」
「「分かった」」
息ぴったりに返事をすると人の歩く速度ぐらいの速さでこちらに近づいてくる。
そしてやはり制御できなかったのか5つ全ての球体が一斉に縮んだ。
「こ、これは...」
「縮んだ?」
「2人とも!その縮んだ丸は爆発するからノアール!」
「え?わ、わかりまs...」
『〈方向変更〉!180°!』
バァーーーンッ!!!
「「うわぁっ!!!」」
爆発で砂埃が舞い、辺りが見えなくなる。
「くっ...」
『チッ、防がれたか...なら今のうちに近づいてっ!』
タッタッタッ
『どこから来る?』
『流石に真正面から行くとバレるだろうから少し横にずれてから行けばバレないはず!』
「見えない...」
『正直横にずれると言われても見えないから対処のしようがないな...』
そう思いつつ前を薄目で見渡す。
しかし灰色の砂埃はまだ待っていて、先ほどよりも少なくはなっているのだがそれでも見えにくいことには変わりない。
ブワッ!!
いきなり灰色の砂埃を押しのけて相手がこちらに突っ込んで来る。
「ルナ!避けて!」
「っ!?」
私の声に反応して瞬間的にバックステップを決める。
「チッ!」
相手は自分の拳が空を切ったことに腹をたてる。
「くそッ!」
『今のを避けられるか...いや、どちらかと言うとやはりあの今だに能力がわからないあいつ...あいつに襲いかかると見せかけてあの黒髪を殴るか...いや、別に殴らなくても、あの爆発でも良いのか...』
相手は考え事をしているようだ。
「ノアール!!今だ!衝撃波を!」
「ハイッ!」
『〈方向加速〉、付与右腕、〈衝撃収束〉!付与、パンチの衝撃、〈方向加速〉収束された衝撃ッ!!』
バァァーーーン!!!
『あれは最初の頃にやられた奴...〈虚無回帰〉!』
衝撃波の進行方向に灰色の球体は浮かぶ。
そしてそのまま...
ブワッ!!
灰色の球体は爆発してノアールの衝撃波を殺す。
「相殺ッ!!」
『な、なんとか出来た?』
そう、相手が思っている通り相殺はなんとか出来ている。
しかし...
『〈堕タ聖剣〉!』
黒い聖剣を持ったルナを背後に回らせてしまった。
「なっ、」
ルナが相手の左肩から右脇腹までを一気に切り裂く。
すると...
「ぢぐじょうめぇ!!」
相手は思いっきり爪を立ててルナに襲いかかる。
「ふっ、まるで理性を失った獣だな...」
『気色悪いね...』
ルナは冷静に爪を立てた右腕を削ぐ。
「ゔっ!ああああぁぁぁ!!!」
相手は右腕が生えていたところを抑え悶絶し、転がっている。
だが、ルナは茫然としていた。
「ぁ...ミスった」
そう、切り方が悪かったのか運が悪かったのか削いだ右腕の爪がルナの右頬に微かな傷を残したのだ。
ジジジッ!
周りの灰色の世界が壊れる。
壊れた後には今まで通りの場所に来る。
「うぅ.....も、戻った?」
『何か分からんが!!〈時間回帰〉!!!!』
「あぁっ!!」
「ふふふっ、勝ったァァァ!!」
〜次回予告〜
「165話、タイムトラベラー8 」
明日か明後日に投稿できると思っているのか!!