152話、フリュークバトルロイヤル19
「ゴバァ!!うっ、バァ!」
ノアールが殴った相手は溝内を抑え、なるべく呼吸を整えようとしているが整えられてはいない。
『〈方向加速〉、付与、目の前のおっさん......後ろに、吹っ飛べ!』
すると、ノアールの前にいた相手が後ろに引っ張られていくように物凄い勢いで下がって行く。
「ふっ、こんなもんですね」
「あ、ノアールもう片付けたのね」
『あの敵とも戦ってみたかったなぁ〜』
「ほら、目の前だよ?」
そう言って私は2人を置いて歩き出す。
コトン、コトン、コトン、タッタッタッ、
「ちょ、ご主人!」
「えぇ!?本当に置いて行って...って!走った!?」
タッタッタッ、
2人は私を追いかける。
「っ、ここに来るのも2回目か...」
そう言いながら天井を見上げる。
「「おぉ〜!!」」
2人は始めて来るので王城の装飾の前に目が眩んでいるようだ。
『『スッゲェ!!あの装飾売ったら金貨何枚になるんだろう!!』』
『同じこと考えてるよ...』
コトン、
「...お盆スラッシュ!!」
「「っ!?」」
どこかでみたことがある攻撃が廊下の奥の方から飛んで来る。
しかも端に刃物が付いており、威力が前回よりも上がっているようだ。
『〈方向変更〉、180°!』
パンッ、
お盆は全て跳ね返って行く。
「チッ、仕方ない...今まで溜めていた分を全放出です!!」
『【時は金なり】やっぱり誰かの背後だよね...』
「ノアール!ルナ!背後に奴が!」
カチッ、
世界が静止する。
「...早く!」
このスキルで時を止めた場合物凄い速度で所持金が消費される。
お金持ちなら良いのだが、金貨1枚で1秒と言う変換レートなので貧乏人や一般の人はほぼ使えない技である。
「はぁ、私もそこまでお金持ちではないので、早急に終わらせますよ?」
私はダークエルフと紺髪の背後に回り、ナイフなどの投擲物を大量に投げる。
「解除っ、」
カチッ、
投擲物、空気の流れ、人、生物が一斉に動き出す。
「背後!?」
ノアールがさっと後ろを向くと大量すぎる投擲物に驚く。
『うわあぁぁぁぁ!!〈方向変更〉!!180°!!』
全て跳ね返る。
「うおぉぉぉ!!」
投擲物を跳ね返した後すぐに敵のメイドの方向に向き雄叫びをあげる。
『っ?何をするつもりだ?な、なるべくお金は消費したくない...あの攻撃は素直に避けて置こう...あれも買いたいし』
『〈方向加速〉!付与、右腕!〈衝撃収束〉!!』
バァァァーン!!
「ゴハァ!」
放たれた衝撃がメイドの腹に直撃する。
「良しっ、当たった!」
「ま、まず...た、タイムイズ...」
「使わせないよ?」
『〈透明物質〉、締め上げるイメージ!!』
〜次回予告〜
「153話、フリュークバトルロイヤル20」