138話、フリュークバトルロイヤル5
「ちっ!予想外について来るんだけどあいつ!」
僕は後ろ5mほど後ろにあるブーメランから逃げつつ、どう追撃しようか考える。
『うーん...動かすとしても変な方向に行かれると調子狂うし、あっそうだ!こう言うところにある石とか寄って誰かが忘れていったナイフとかを動かして当てれば!〈方向加速〉!付与、石!目標ブーメランッ!!』
バァッ!!
まるで瞬間移動かのような風にいきなり目の前から手の平サイズの石が消える。
それと同時に、《カキッ!》と言う金属音が響いて来る。
しかし、よく見るとブーメランには傷一つ付いておらず石はいとも簡単に切断されてしまった。
「チッ!意味ないか!」
ノアールがそう叫んだ瞬間に、ブーメランのスピードが目に見えて遅くなった。
「ん?遅くなった?」
その回転速度は、まるでお洒落なカフェの天井でよく回っているあの扇風機みたいなやつぐらいの速さだった。
「このぐらいならッ!」
『〈方向加速〉!付与、ブーメラン!』
バァァーン!!
そう、ブーメランの正面が壁の方向を向いた時に叫ぶ。
するとものすごい速度で壁にぶつかり、そのままブーメランは動かなくなった。
「こ、これで...奴は死んだのか?」
『少し疑わしいが、ご主人やルナもこのブーメランに攻撃していると仮定してこのぐらいが妥当だろう』
そう思い、ブーメランに背を向け先ほどまでの場所へ戻ろうとすると...
「んん?あっ!もしかして君はにゅうこくしてきたわるいさんにんの中のひとりのだーくえるふだね!」
「こどもっ!?」
『何故こんなスラム街近くの道にこんな子が...いや、さっき入国とか3人とか言ってたからあの副団長の仲間だろうな...』
「ふふふっ!私、ちょーつよいのうりょくを持ってるんだ〜!いいでしょー」
そんな子供っぽい揶揄いに、
「ほぉ〜、僕は君の能力よりも強い能力を持っているからイイもんねー」
ノアールは強いの部分を強調して煽り返す。
「むー!全然弱いもん!私ののうりょくのほうが強いもん!」
『〈迫来悪夢〉...目的指定、目の前の...ダークエルフ』
「はぁ!これで終わりダァ!」
『〈黒ノ神槍〉!』
バヂッ!
手の平から紫電を撒き散らしながら黒い槍が出て、これまた紫電を放出しながらブーメランに近づいて...
バヂッィ!!
カランッ
ブーメランの動きが一瞬で止まり、落ちて動かなくなる。
「はぁー、はぁー、終わりのようだな...」
そう、膝に手を当てて前屈みになり息を切らしていると...
「っ!殺気!!」
『〈黒痣ノ盾〉!』
丁度目的地の王城のあたりがオレンジ色に光り...
光線が飛んで来る。
だが、ルナはシールドを張っている。
「ふっ...」
『勝ったな...』
ボソッとオレンジ色の光線を撃った者は思わず呟く。
オレンジ色の光線はルナの盾に当たる...いや、当たらなかった。
「よし、やっぱりもう死んでいたか...あれ?まだ戻ってきてないのか...」
私は副団長だった物を片足で踏みつつ、そう呟き辺りを見渡す。
すると、コツン...コツン...と、足音が聞こえて来る。
「っ......」
「ほう...まさか、元・副団長を殺すとはな...そいつは相当強い方の部類に入るのだが...これは警戒レベルを上げる必要があるな」
「...その雰囲気からして団長?」
そう質問するとはははっ!と笑い出す。
「面白い質問をするじゃないか、実はこれでも副団長さ、団長は...あともうちょっとで来るんじゃないかな?」
「っ.....」
『〈透明物質〉!触手が相手を襲うイメージ!!」
「やめてよね...そう言うの、萎えるから」
自分がイメージしたルートをあるで知っているかのごとく正確に透明物質を叩き落とす。
「っ!?」
「今の驚き...そしてあの動きに地味についていけてなかった...さてはこの透明の技、自分も見えないな?」
その問いに答えるのに少し時間をかけてしまい、
「図星か」
そう、言い当てられてしまった。
「それでは、前置きはここまでにして戦おうじゃないか...勿論、どちらかが死ぬまでね」
〜次回予告〜
「 139話、フリュークバトルロイヤル6 」
3日以内に投稿したいよね。