137話、フリュークバトルロイヤル4
ギュィィィィ!!!
ブーメランが高速回転して丸になる。
「...これって相当強い部類の能力者なんじゃ?」
ノアールが相手から感じる威圧感と能力を見て悲鳴のように呟く。
「まぁ、これでも一様副団長なんてやってるからな...」
「副団長...」
ルナは、目の前の男の上にいる団長の強さを考える。
「それじゃあ...始めようか!」
『前に突っ込め!』
ギュィィィィ!!
巨大なブーメランが私達の方向に思いっきり突っ込んで来る。
「ノアール!跳ね返せる?」
「無理!あれ回転してるからどっちの方向に飛ぶか分からない!」
「ルナは...」
「防ぐのは難しそうだ...」
「チッ!」
『〈透明物質〉!!壁のイメージ!!』
ガギィィィン!
ブーメランが透明な壁にあたり、火花が散る。
「グッ...」
相手が少し苦しそうにしている。
そのせいか、回転が少し弱まり後ろに下がった気がする。
「はぁ!」
『〈闇ノ神槍〉!』
バヂッ!
相手の回転が遅くなると同時にルナが紫電を放出する黒色の槍を出して投げる。
しかし狙いがずれたのかブーメランに当たらず、ブーメランの近くにある家の壁にぶつかってしまう。
だが、ルナが投げた槍の着弾点から紫色の電気が一気に放出される。
その紫電は、一番近くにあった金属であるブーメランに向かって動く。
「ヴッ!ぐぁ...がッ...ガガガガ...」
ブーメランが感電したと同時にまるで電気に触れているかのようにピクピクと痙攣し始める。
「なるほど...ご主人、相手の能力は自由自在にブーメランを操作できる代わりに...ブーメランと同調し過ぎて自分にも受けたダメージ全部...いや、半分ぐらいが自分にも来るのでしょう」
「グゥゥ......」
「多分この反応からしてそうなんだろう、これが演技だったら相当な演技派だよね...」
しかし紫電の放出時間も限られている、
「ガガガガ...ふぅ...」
ふぅと息を思いっきり肺の中身がなくなるまで吐き出す。
すぅ...
息を吸い込んで...
「この俺によくもこんな恥を書かせてくれたナァァ!!!」
『〈鋼鉄帰刃〉!3つに分裂して一人づつ追え!!』
ブーメランがいきなり高速回転を始め、ものすごいスピードで近づいてくる。
私はノアールとルナの近くに寄って、二人の耳元で「あのブーメラン、分裂するぜ」そう呟いたと同時に、ブーメランが一瞬だけ光る。
ピカッ!
「「「うっ...」」」
そしてその光により一瞬だけ何も見えなくなる。
そしてまた目を開けると、
ブォンブォン!!
ブォンブォン!!
ブォンブォン!!
ブーメランは3つに増え、それぞれ私達一人づつ追ってきた。
♢♢♢♢
ダッダッダッ!
「むむむ...意外と追尾能力が高いなぁ...」
私は走りながら考える。
ちなみに私達全員は一旦バラバラになっている、ノアールは街中、ルナは同じく街中を走り、私は屋根の上を走る。
ギュィィィ!!
相変わらず大きな音を立ててこちらへ近づいて来る。
『〈透明物質〉!触手が屋根を捕まるイメージ』
イメージを固めてから、屋根の上から落ちる。
するとまるでブランコのような動きをする。
そして、一番上の位置に到達する少し前に屋根から切り離し、また15mぐらい先の屋根に捕まる。
それを5回ほど繰り返していると、いきなりブーメランの回転速度とスピードが下がる。
「良し...やっぱり能力者から一定の距離離れると弱体化するのか」
そう呟くと、今まで行っていたブランコ運動をもう一回続けてやり、今度は一番上の所で触手を切り離して屋根の上に乗る。
ブォンブォン!
『〈透明物質〉!巻きつくイメージ』
今まで伸びていた触手が動き、ブーメランに巻きつく。
カッ...
ブーメランの動きが完全に止まる。
ギチギチ...ピキッ、
ドンドン強く巻きついて行く、
ピキッ、バリッッ!!
ブーメランが半分に折れる。
「........半分のダメージが行くブーメランを3つに分けているから六分の一が本体に行くのか...ならもっとだな」
そう呟き、
バリッッ!!
ピキッ!
バリッッ!!
バリバリバリッッ!!
「ふぅ...こんなもんでしょ」
そう言いながら、粉々になったブーメランだった物を片目で見ながら本体がいる場所へと戻った。
〜次回予告〜
「138話、フリュークバトルロイヤル5 」
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