136話、フリュークバトルロイヤル3
「はぁー...い、今の何?敵の攻撃だよね?」
「多分...」
いきなりの攻撃の様な物を仕掛けられて動揺を隠せない。
「と、言うよりも...ここは、スラム?」
そう、今の光線が飛んできた方向は所謂スラム街、普通ならそんな所からは直線にしか進めない光線を入り組んだスラム街で撃つはずがない。
「た、確かに...狙撃は面倒だけど、ここら辺はスラム街程じゃないけど遮蔽物があるから狙撃の意味はないんじゃ...」
すると、一回撃たれてからチラチラとスラム街の方を見ていたルナが、緑色に一瞬だけスラム街のとある家の窓が光ったのを見る。
「く、来るよっ!」
そう叫び頭を壁に隠して、はぁーはぁー、と息を荒げながらどこに撃たれるのだろうと色々な所を見渡していると...
ピュンッ!
ガラッ...
何かが崩れる音が聞こえルナが前を見ると、前の壁の一部が少し崩れていてその中心に直径5cmぐらいの緑色の球が一瞬見えた気がした。
♦︎♢
「この後は...このまま王城に行くべきか?」
「いや...うーん」
バァンッ!
「「っ!?」」
ルナの方から何かが壊される主な聞こえてルナの方を見ると、頬から一筋の血を流したルナがいた。
「ルナ!」
「ルナっ!一体何があった?」
「じゅ、重要な情報だ...奴が撃ってくるレーザーは壁や障害物に当たると反射する...こう言う狭い場所で撃たれると物凄く強い能力だ...まぁ、反射するのに0.5秒ぐらいかかってしまうのがこの能力の弱点といった所か...」
「って事は...ここもまずいよな」
ノアールが呟く。
「あ、そうだ...」
『〈透明物質〉、下から掬い上げるイメージ...』
「うわっ」
「っと、」
いきなり3人の体は持ち上がり、ノアールとルナが一瞬だけバランスを崩す。
そしてそのまま上昇し、屋根の上で降りる。
「こうすれば反射も何も関係ないだろ?」
「えぇ、ですが...撃ってきました!」
スラム街のある窓が緑色に一瞬だけ光る。
『あそこだ!〈透明物質〉!細い槍が大量に出て突き刺すイメージ!』
光線がこちらへ向かってくる。
「ノアール、頼むぞ」
「はぁー、ご主人はいったい誰に物を言っているのです?」
『〈方向変更〉180...いや、179.01°!』
光線はグイッと向きを変え少しズレながら戻って行く。
そして、光線がスラム街のとある家にぶつかったと同時に、
バキッ!
バリバリ!
その家に大量の穴が空いた。
「死んでないと思うけど...これで深手はおったはずだ」
はぁー、とため息を吐く。
ノアールはめんどくさそうな顔をしながら呟く。
「嫌な予感がする...」
「実は我もだ...」
その呟きにルナも賛同する。
地味に私も何かを感じ取っていた。
「さっきまで戦っていたあの光線使いに狙われているか、それとも違う敵か、どっちだと思います?ご主人」
ノアールが屋根の端に座りながら言う。
「我はやはり違う敵だと思うぞ」
ルナはそう言って屋根から飛び降りる。
「その可能性が高いね」
「そうですね」
私とノアールは一緒に屋根から飛び降りた。
コトン、コトン、コカッ!
入り組んだ少し広い路地裏に3人の少年少女がいる。
そのうち2人は辺りを見渡し、1人は自分の左足首を必死に摩っていた。
「うーん...左側かなぁ?」
「確かにそうですね...」
「うぅ...、われがぁこんな初歩的なぁ」
「「.........」」
私とノアールはかける言葉が見つからず、黙り込んでしまう。
「うぅ...ってな、何か来るよ?やばいのが来るよ?」
やっぱり悪い予感は的中するものである。
ルナの言葉が言い終わると同時に...
「ノアーーール!!避けろ!」
「っ!?」
『〈方向変更〉90°!』
カクッ、
バァァーン!!!
いきなり背後から鉄でできた巨大なブーメランが不規則な動きで飛んできたのだ。
それをノアールは直角にカーブさせ、壁に叩きつけたのだ。
「はぁー、はぁー、ブーメラン?」
「...ノアール、相手の能力は今から言うこの2つのどちらかだろう、まず楽なのは前者だ...物質操作系でブーメランを浮かして攻撃してきた、辛いのは後者で...ブーメラン自体が能力というやつだ」
「っ....僕は前者だと思いたいね」
「同意だ」
グググッ、
バリッ!
ブーメランがゆっくりと回転しながら、私達の前方へ動いて行く。
そこには1人の男がいて...
「ふふふっ...残念ながら、後者さ」
そう言い放った。
〜次回予告〜
「 137話、フリュークバトルロイヤル4 」
3日以内に投稿できたらいいよね