表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45/155

第43話 雨の夜、初めての夜

初めてっていってもいろいろありますよね

43



 土砂降りになった雨の中、僕たちはリリーの自宅へ走った。


 リリーの家は無人だっただけあり、そこら中に埃が溜まり白くなっている。

 すぐに窓を開けて換気をする。

 まいったまいった、とリリーは引き出しから布を取り出し、僕の髪をごしごしと拭いてくれた。


「冷えちゃったわね」

 暖炉で、リリーは埃をかぶったテーブルクロスを燃やした。部屋の隅の薪を突っ込む。少し湿気った薪から煙が立ち上る。


「さすがに湿気てるか。アキラ脱ぎなさい、風邪をひくわ」


 そう言いながらリリーはざっと床を雑巾がけして、椅子をガタゴトと運んできた。

「大丈夫です」

「風邪を引いてからじゃ遅いわ。まずいパン粥食べたいの?」

 パンを牛乳で煮たアレは、見た目がゲロっぽくて不味そうだったな……。

 

 二階からシーツを持ってくると、リリーは僕を全裸にしてシーツをかぶせた。


「火に当たってなさい、すぐに戻るから」


 パンとチーズを買ってくる、とリリーは雨の中飛び出した。

 面倒見がいいところは、普通の女の子なのに。

 

 改めて、リリーの自宅は、質素なつくりで、木製のテーブルと椅子、暖炉があり、その奥に台所と、もう一部屋ある。

 窓から見える庭は雑草が生い茂っている。ひょっとしたらハーブなのかもしれないが。

 二階はリリーの部屋があるらしい。

 

 暖をとっていても、なかなか寒気が収まらない。冷や汗が全身を伝ってるのがわかる。

 ひとりきりで待つ部屋は静かで、落ち着かない。


 家にいたくなくて、夜の街に逃げ出した、あの日も雨だった。僕に声をかけてホテルに連れ込んだ人も、優しくしてくれたっけ。

 初めての夜は、結局、最後まで相手にまかせて大人にしてもらった。

 家まで送ってもらっても部屋には誰もおらず、真っ暗だった。

 窓を叩く雨音が、そんなことを急に思い出させた。目の前の暖炉の火に手をかざして、リリーの帰りを待つ。


 椅子に腰掛けたまま、いつの間にか寝てしまっていたようだ。


「アキラ、具合はどう? まだ寒い?」

「……おかえり、リリー様。ちょっと、寒いです……」

「仕方ないわね、立ちなさい、ベッドで寝なさい」


 ひょいとしゃがんで、僕の腕を肩にまわして立ち上がる。リリーに連れられ、二階のベッドに運ばれた。

 窓は開け放たれており、埃っぽさは少し収まっている。

「汗拭いてあげる」

 ベッドに寝かされ、汗ばんだ肌を拭きとられる。首元に白い手が差し込まれる感触に全身が反応してしまう。

「……ん」

「変な声出さないの」


 もっと触れて欲しい。

 悪寒が止まらないのに、触られたところの熱はおさまらないんだな。

 

「……さむいです、あっためてください」

 リリーの手を掴んで、お願いしてみる。

「……」

 仕方ないわね、とするりと彼女は服を脱いで、ベッドに滑り込んできた。

 暗闇の中で、白く透けるような彼女の胸に包まれる。

 いつも寝てた男たちとは違う、甘い香りにくらくらする。

 きっと、おいしいんだろうな……。

 


「……やめなさいっ……っ、んっ……」

「あたためてくれるんでしょう?」 

「しゃべらないで……っ」

 鼓動の激しさに、僕の心臓も破裂しそう。


「嫌なら、断ってください」

「……」

「女の子としたことはありませんけど、経験なら結構ありますから」

 すぐ隣の彼女の柔らかさに引き寄せられる。記憶を頼りにしたぎこちない動きでも、すぐに彼女の肌が震え始めた。


「……」


 え、まさか、したことない?

 こんな、男好きする体をしといて?


「……アキラ、ごめんね。イヤなんじゃないの。風邪ひいてフラフラしてるのに、無理に大人になろうとしなくていいわ」

 リリーが僕をうつ伏せにすると、後ろから手を伸ばして、そっと僕を包み込んだ。

「いけない子ね」

「リリー様っ……! いやだ、待っ……!」



 たちまち、僕は追い詰められた。



「おやすみ、アキラ」



 


この程度の描写ならOKでしょうか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ