第140話 最終試験
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140 最終試験
ガーネットの姿から、元に戻れないとリリーたちに説明した。
「自力で変身しているのよ、元に戻るのも自分でできるはずよ」
黒百合の女神はあれこれと術をかけてくれたが、全く変化はない。
「どうしてかしら……。リリー・スワンと戦った時、頭とか打った?」
「傷はつきまたけど、頭は別に打ってません」
「なにか、ショックを受けたとか」
心当たりがあるとすれば、クラウスとガーネットの姿があまりにも似ていたことと、『姉』と呼ばれたことぐらいだろうか。
「でも、君がもともといた世界に戻るのに、女の姿では帰れないわ。ご家族がわからないものね」
そうだ。
僕はアキラだ。
このままでは、向こうの世界に居場所はない。
「ところでガーネット。明日からはお城暮らしよ」
「……」
「君も、そのままの姿じゃ困るでしょ。私と一緒に来るのよ」
このままでは、リリーはクラウスの花嫁になってしまう。王子を救った英雄として。
「ドレスはお城で用意してあげるから」
「あの、リリー様」
「なあに」
「元に戻る方法は……、ないんですか」
「私にはわからないわ。私の魔法は、見た目や形を変えるだけだって知ってるでしょ。性別までは変化できない。逆に、元の姿に変身はできない?」
言われた通り、何度も試してみたが、アキラの姿になることはできなかった。リリーは膝をかかめ、ペタペタと頬に触れた。
「幻覚でこう見えているわけでもない。うーん……。アキラ。普通はね、性別を変えることはできないの。普通の魔女はね。いろいろな姿に変身することはできる。でも時間が立てば元に戻る。物ではなく、命あるものの姿を変えるって、とんでもない魔力を使うのよ。私は見た目をちょっといじるだけしかできない。君のほうが、魔女としての力は遥かに上なのよ」
「僕はガーネットの……。ガレの魔力を借りてるにすぎません」
「旧王国の王冠についていた石よね。ガレを呼び出して」
彼女はふわりと周囲を飛び回り、僕の肩にのった。
「私は何もしていない。お前の問題だ」
「そんな……。どうして……、どうして」
少し寝なさい、とリリーが肩を押した。
「ねえリリー。あなた、もう少し教えてあげても良かったんじゃないの」
「原因は、わからないわ。でも、元に戻れないなら私を失うことになる。これは最終試験よ」
心が折れそうになるアキラだが、元の姿に戻れるのか!?
続きをお楽しみに!




