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【完結】へなちょこリリーの大戦争 ~暁の魔女と異界の絵師~  作者: 水樹みねあ
第9章 雪と氷と呪いの女王~ヴィルガー王国編
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第113話 約束を閉じ込めて

フレイアと対決します。



 女王フレイアを呼び出すことにし、城内の教会へ移動する。

 顔色の悪いアイフィアの手を握った。

「怖いの」

「はは、こちらには女神がふたりもついているのだ、怖くはない。だが女王が話を聞いてくれるか、な……」

 メキラとハイラが武器を持ち、教会の扉を開けた。


 さて、とアイフィアはラトナが宿るルビーを両手に掲げた。


 宝石がきらめいたかと思うと、ラトナが姿を表した。

 お願いします、とメキラが要請する。

 彼女が呪われし女王フレイアの名を呼ぶと、恐ろしい形相のフレイアが現れた。血に染まったドレスをまとい、氷の刃が腹に刺さっている。


 以前見たときより、小さく見える。

 化け物じみた姿は同じだが、体の大きさが普通なのだ。


「……お前が放った呪いは、我が力。返してもらうぞ」

「ラトナ……! 私に力を貸してくれると言ったではないか。我が子を氷の湖に投げ込まれた。この恨みは消えない」


 オォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ……!!

 彼女の叫びが冷気を教会内に吹き込んだ。以前割られたステンドグラスから再び雪と氷が入り込む。氷雪をまとったフレイアは巨大になり、天井まで届きそうだ。

 ……ウソだろう!?

 予想外だったのか、メキラとハイラが一斉に攻撃を仕掛けたが、雪を固めた盾に跳ね返される。

「皆殺しだ」

 その様子を見ていたアイフィアが一歩前に進み出た。

「アイフィア下がれ!!」

「危険だ!」

 踏み潰されそうな、巨大な雪像のようになった女王を前に、彼は笑った。


「……これで最後にしようフレイア。そのかわり、私の一族が、あなたの息子を弔おう」

「フフフ死に抗うことはできぬぞ、私もお前も。お前が死んでも変わらぬ。逆らうな」

「ああ逆らったりしない、先祖たちの罪は私が王として引き受けよう」

「今更そんな言葉が信じられるか」

 悪霊と化したフレイアが氷の刃を振りかざした。


「……ふざけるな!! 死なせないッ!」

 アイフィアを庇いつつ、炎の魔法を繰り出した瞬間、氷の刃が腹を貫いた。

「……カイン!!」


 刃が抜かれると同時に、視界が赤く染まった。血とは、熱いのだと初めて知った。

「……アイフィア……あなたが死ぬことはない」

「馬鹿な、お前にはお前の国が」

「……あなたがいない世界など……いらない……」



 ここで終わりなのか。

 フレイアが吐き出す冷気で涙が凍りついた。



 フレイアの前に黒百合の女神が立ちはだかった。

「……許さぬ!  関係のない子供を傷つけたな。私の友を!」

 黒百合の女神の怒号が凍てついた空気を震わせた。床を貫いた蔓が、フレイアを縛り上げる。

「待ってくれ、黒百合の女神よ、フレイアの恨みは消えない。……もう憎み合うのは終わりにしたいのだ」

「邪魔立てするな、我が子は戻らぬ」

 縛られたまま、フレイアはなおも冷気を吐き出している。氷の塊が、アイフィアの額に当たり、血が吹き出す。

「私はあなたを救いたい。物心ついた時から、私はお前に怯えて生きてきた。何度も何度も会ってきた、これ以上、殺してほしくないのだ」

 フレイアは再度、冷気を吐き出し、アイフィアはかろうじて躱した。様子を見ていたラトナが割って入り、炎を浴びせる。 

「フレイアよ。お前の我儘に付き合っていられぬ、死んだ者は戻らぬのだ」



「……湖にお前と共に投げ込まれた時、子の仇を取りたいと願ったな。だから私は力を貸してやった。その結果がこれか」

「人間の言うことなど、信じらぬ」

「この者はお前を倒そうとしているのではない、許そうとしている。罪を認めているのだ、仇は取れたのではないか」

「私の心は凍てついたままだ」


 黒百合の女神に全身を蔦で縛られているというのに、なおも全てを凍りつかせようとしている。


「どうあっても、この者を殺すか。いまこの場でたった一人、お前を救おうと言っている者を」

「……」

「許さぬというなら仕方ない。妹も怒っている。これ以上、私に面倒をかけるな」

 ラトナの炎が、フレイアの体を溶かしていく。頭だけ残して、溶けてしまったフレイアがパクパクと口を動かした、が、もはや罵声も冷気も出てこない。

「ならば恨み続けるが良い。この石の中でな」

 頭だけを残し、ラトナはフレイアをルビーに封じ込めた。


「アイフィアよ、お前の一族が、この女のために祈るのだ、これから先、恨みが溶けるまで」

「はい。私の国が責任を持って供養致します」

 ラトナからルビーを恭しく戴く。

「あの者は、人間の言うことなど、信じらぬと言っていた。自分も人間だったことを忘れてな。アイフィア、お前は王として甘すぎる」

「最後の仕事です、恨みは私が引き受ければ良いのです。……そうだ! カイン!」



 






刺されたカインの運命は……!? 次回も見てくれよな!!


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