第111話 クエスト:炎のルビー・羽根帽子の材料を入手
111 クエスト:炎のルビー・羽根帽子の材料を入手
竜のうろこのおかげで、どこまでも潜っていける。冷たさもそれほど感じない。
マーナサローワル湖は、底まで見えるほど水は透明で、しかしなかなか底までたどり着けない。必死で足を動かし、ルビーを探す。
さきほど女神が示してくれたおかげで、その場所はぼんやりと光りを放っているため、なんとか拾い上げる。
「ぷは……っ!!」
湖岸で待つアイフィアに手を振る。
泳いで、ルビーを手渡す。
「行ってくる」
「待て、カイン、休め」
休んでいる暇なんてない。
メキラとハイラが、2個、3個と順番に拾っている。もう一度潜ろう、と顔を水につけた時、足に激痛が入った。
「痛っ……!!」
「カイン!!」
近くを泳いでいたハイラが腕を掴んで、引っ張り上げてくれた。足が攣ったらしい。
「カイン上がれ!! 死にたいのか!」
ハイラが腕を引っ張って、岸まで運んでくれた。木を拾って火を起こしてくれている。 横になれ、と足を揉んでくれるが、まだ痛い。
「少し足の指を引っ張るからな、痛いぞ」
「いてててッ……!」
ふくらはぎを伸ばして、膝を曲げてを繰り返す。
「唇も紫になってる。可哀想に」
濡れた服を脱ぎ、乾かす。その間は、マントを貸してくれて、アイフィアは焚き火に小枝を焚べた。
黒百合の女神のおかげで、夏のような気温だが、泳ぎ続けた体は思ったより冷えている。
ハイラが湖から魚を捕まえて焼いた。
「お前から食べろ。体力を回復して」
「ありがとうハイラ」
香ばしい焼き魚の滋味が冷えた体に広がる。
ハイラは魚を捕まえては焼いてくれる。
今は本当の夏で、アイフィアとの休暇だったなら、どんなに良かっただろう。
メキラは巨大な鳥の羽根で、黒百合の女神を仰いでいる。
「メキラ、この鳥はなんというんだい」
「これは、金翅鳥といいまして、名前はカルラです。竜を食べます」
「……竜を」
「この子はよく飼いならしておりますので、人間は食べません」
一本、羽根を抜き取ると、メキラは見せてくれた。その羽根は光が当たると、オレンジ色から青、緑と、不思議に色が変わって見えた。
アイフィアは、濡れないように外していた帽子に、羽根を刺した。
「城に戻ったら新しい帽子をあげよう。この美しい羽根を集めて飾りにしよう」
「本当?」
「ああ。まずは呪いを解いてからな」
約束ができて俄然やる気が出る。
話してるところ悪いがと、ハイラとメキラが焚き火の周りに集まった。
「湖の中心がかなり深くなっている。底まで届く前に浮き上がってしまう」
「ルビーの残りは、湖の中心部にあるようです」
「どうしたものかな」
何度かカインとメキラが潜ってみたが、湖底までたどり着けない。
「そろそろ日が暮れます、今日はもう無理でしょう。夜に泳ぐのは危険です」
メキラとハイラが、木を集め、金翅鳥の巨大な羽根で覆いテントを作った。簡易な造りに反して中は温かい。
たどり着けない湖底のルビーをどうするか。黒百合の女神は、焼き魚を齧りながら、
「助けてあげてもいいのよ。でも、アイディアもなくてそのまま、正解を教えてやるわけにはいかないの。これはテストなのだから。諦めてもいいのよ、別に責めないわ。お姉様は人間に協力したくないと言っているのだから」
とカラカラと笑う。
アイフィアが、
「だが女神よ。我らがルビーを回収すれば、少なくとも話し合うことはできる。例えばだが……。湖の水を抜くとこはできないか」
「は?」
「大地の力を操る女神よ、湖の一角を掘り水を流す。水量が減れば、その分は水深は浅くなる。力を貸してもらえないだろうか」
「聖地なんじゃないの、ここ」
「聖地には違いないが、神が宿るルビーをそのままにしておけない。湖は、ヴィルガー王国が責任を持って自然の状態に戻す。どうだろうか」
私からも頼むと頭を下げた。
「わかったわかった。協力してあげるわよ」
メキラが、どこに穴を開ければ効率に水を抜けるか調べてくると、ハイラを伴いテントを出た。
「私のために苦労をかけるな」
「言い出したのは私だ、気にしないで」
「気にするさ。もっと早く出会いたかった」
アイフィアのマントにくるまれて眠る。ルビーを回収し、呪いを解くことができれば、彼は死なずに済む。
……いずれ、家族のもとに帰ってしまう。
それでも構わない。そう思える恋に出会ってしまったのは、どうしようもないのだから。
足つると痛いよねえ……。というわけで、まだ続きます! 感想欲しいですー!




