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【完結】へなちょこリリーの大戦争 ~暁の魔女と異界の絵師~  作者: 水樹みねあ
第9章 雪と氷と呪いの女王~ヴィルガー王国編
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第111話 クエスト:炎のルビー・羽根帽子の材料を入手

111 クエスト:炎のルビー・羽根帽子の材料を入手


 竜のうろこのおかげで、どこまでも潜っていける。冷たさもそれほど感じない。

 マーナサローワル湖は、底まで見えるほど水は透明で、しかしなかなか底までたどり着けない。必死で足を動かし、ルビーを探す。

 さきほど女神が示してくれたおかげで、その場所はぼんやりと光りを放っているため、なんとか拾い上げる。

「ぷは……っ!!」

 湖岸で待つアイフィアに手を振る。

 泳いで、ルビーを手渡す。

「行ってくる」

「待て、カイン、休め」

 休んでいる暇なんてない。

 メキラとハイラが、2個、3個と順番に拾っている。もう一度潜ろう、と顔を水につけた時、足に激痛が入った。

「痛っ……!!」

「カイン!!」

 近くを泳いでいたハイラが腕を掴んで、引っ張り上げてくれた。足が攣ったらしい。

「カイン上がれ!! 死にたいのか!」

 ハイラが腕を引っ張って、岸まで運んでくれた。木を拾って火を起こしてくれている。 横になれ、と足を揉んでくれるが、まだ痛い。

「少し足の指を引っ張るからな、痛いぞ」

「いてててッ……!」

 ふくらはぎを伸ばして、膝を曲げてを繰り返す。

「唇も紫になってる。可哀想に」

 濡れた服を脱ぎ、乾かす。その間は、マントを貸してくれて、アイフィアは焚き火に小枝を焚べた。

 黒百合の女神のおかげで、夏のような気温だが、泳ぎ続けた体は思ったより冷えている。

 ハイラが湖から魚を捕まえて焼いた。

「お前から食べろ。体力を回復して」

「ありがとうハイラ」

 香ばしい焼き魚の滋味が冷えた体に広がる。

 ハイラは魚を捕まえては焼いてくれる。


 今は本当の夏で、アイフィアとの休暇だったなら、どんなに良かっただろう。

 メキラは巨大な鳥の羽根で、黒百合の女神を仰いでいる。


「メキラ、この鳥はなんというんだい」

「これは、金翅鳥といいまして、名前はカルラです。竜を食べます」

「……竜を」

「この子はよく飼いならしておりますので、人間は食べません」

 一本、羽根を抜き取ると、メキラは見せてくれた。その羽根は光が当たると、オレンジ色から青、緑と、不思議に色が変わって見えた。

 アイフィアは、濡れないように外していた帽子に、羽根を刺した。

「城に戻ったら新しい帽子をあげよう。この美しい羽根を集めて飾りにしよう」

「本当?」

「ああ。まずは呪いを解いてからな」


 約束ができて俄然やる気が出る。

 話してるところ悪いがと、ハイラとメキラが焚き火の周りに集まった。


「湖の中心がかなり深くなっている。底まで届く前に浮き上がってしまう」

「ルビーの残りは、湖の中心部にあるようです」

「どうしたものかな」

 何度かカインとメキラが潜ってみたが、湖底までたどり着けない。

「そろそろ日が暮れます、今日はもう無理でしょう。夜に泳ぐのは危険です」

 メキラとハイラが、木を集め、金翅鳥の巨大な羽根で覆いテントを作った。簡易な造りに反して中は温かい。


 たどり着けない湖底のルビーをどうするか。黒百合の女神は、焼き魚を齧りながら、


「助けてあげてもいいのよ。でも、アイディアもなくてそのまま、正解を教えてやるわけにはいかないの。これはテストなのだから。諦めてもいいのよ、別に責めないわ。お姉様は人間に協力したくないと言っているのだから」

 とカラカラと笑う。

 アイフィアが、

「だが女神よ。我らがルビーを回収すれば、少なくとも話し合うことはできる。例えばだが……。湖の水を抜くとこはできないか」

「は?」

「大地の力を操る女神よ、湖の一角を掘り水を流す。水量が減れば、その分は水深は浅くなる。力を貸してもらえないだろうか」

「聖地なんじゃないの、ここ」

「聖地には違いないが、神が宿るルビーをそのままにしておけない。湖は、ヴィルガー王国が責任を持って自然の状態に戻す。どうだろうか」

 私からも頼むと頭を下げた。

「わかったわかった。協力してあげるわよ」

 メキラが、どこに穴を開ければ効率に水を抜けるか調べてくると、ハイラを伴いテントを出た。


「私のために苦労をかけるな」

「言い出したのは私だ、気にしないで」

「気にするさ。もっと早く出会いたかった」

 アイフィアのマントにくるまれて眠る。ルビーを回収し、呪いを解くことができれば、彼は死なずに済む。


 ……いずれ、家族のもとに帰ってしまう。





 それでも構わない。そう思える恋に出会ってしまったのは、どうしようもないのだから。






足つると痛いよねえ……。というわけで、まだ続きます! 感想欲しいですー!


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