第3話 懐かしい顔ぶれ
3話目
ピンポーン...ピンポーン.....................................ピポピポピポピポピンポーン...
「誰だ!!朝一から家のインターホン連打している奴は!!」
俺は布団から飛び上がり時計を確認するとまだ6時であった。他の部屋のやつらの迷惑になるだろう!文句言ってやる!
恵は寝起きから苛立ちを隠さずピンポン魔に文句を言うため玄関の扉を開ける。するとそこには見事なサラサラのストレートロングヘアをした見慣れた女性がたっていた。
その女性は扉が開くと同時に俺に抱き着いて来て「メグちゃ~ん今日も可愛いね~」などと言いながら俺の頭をその豊満な胸に沈めてくるが、俺は何とか相手を押し戻し反論する。
「ちょっと!ちょっと待ってくださいって詩織さん!いつも言ってますけど急に抱き着かないでください!後、名前はケイだって言っているでしょ!「恵」と書いてケイって読むの知ってるでしょ!」
「えーだって、メグミちゃんこんなに可愛いのに勿体ないよ!大人になった今でもカツラつけて女装すれば100人中98人は女の子だって勘違いするよ!それに良い匂いもするしね~」
そう言いながら次は俺の胸に顔を埋めクンクン嗅いでくる。俺は嗅がれながらこの人は変わらないな...等と考えていたら開けっ放しだった玄関からタクが大きな荷物を抱えながらやって来た。
「姉さん!また一人で突っ走って!ケイが困ってるだろ!後早く離れろ!ケイは女の子扱いされるのが嫌いだって事知ってるだろ!」
そう、俺は両親がなかなか子供が出来なくて、諦めかけていた時にやっと授かった子供である。そのために名前に「恵み」と書き、「神様、この子を授けて下さり有難うございます」的な意味が込められているらしい。
そして俺一人しか生まれなかったため、両親は蝶よ花よと育ててくれ、実家の隣に住んでいたタクの家にしょっちゅうお邪魔になっていた。
そこで俺はもともと顔立ちが良く、線も細かったため着せ替え人形のごとく扱われ、幼いころからこの詩織さんの手により女装させられていたのだ。それは両親の都合で引っ越すまで続き、小学6年の時にやっと解放されたのであった。
そうして大学の時にタクと再会。就職し現在に至っている訳だ。まあ中学、高校時代も男子生徒の服を着ているのになぜか下駄箱にはラブレターが山ほど入っていたがな...野郎たちのな!
そんな事を思い出していると、タクの背後から黒髪の美しい人影が顔を出してきた。
「お久しぶりですケイさん。朝早くからすみません。お姉ちゃんがどうしても早くケイさんの家に行きたいって聞かなくて」
「あー!ヒーちゃんそんな事言うんだ!本当はヒーちゃんが真っ先に行きた..ムグググ」
「アハハハー!何言ってるのお姉ちゃん。朝から酔っぱらっているのかな~??」
そんな事を口走りながら詩織さんの口を全力で塞ぐヒーちゃんこと日香里ちゃん。しばらく見ない間に大きく、それでいて美人になったな。
「日香里ちゃん、久しぶりだね。引っ越しする前だったから6歳の頃か、小学1年生のころからぶりだね。
ヒーちゃんって言われたから気が付いたけど、何も言われなかったら分からない程奇麗になったね」
そう、この黒髪の美しく活発そうなナイスなプロポーションを誇る子は現在18歳の大学1年生である川崎日香里ちゃんだ。俺と7歳差で、小学1年生の時に分かれた子で、当時俺にべったりで何をするのにも後ろをついてきていたのだ。
引っ越しの時はそれはもう大変で、泣くわ喚くわ暴れるわで俺の両親も川崎家のご両親も困り果てていた。そこで俺は「また大人になったら会おうね。その時に素敵な女性になってくれていたら嬉しいな」と伝えたら泣くのをやめ笑顔で見送ってくれたのを未だ覚えている。
その時さんざん両親から「こんな若い時から女の子を喜ばせるセリフが言えるなんて、将来は女泣かせになりそうだな」とか言われ放題だった。ついでに詩織さんは車のトランクに忍び込んでおり、トランクから物音がし、両親が車を止めトランクを開けると出て来たというハプニングもあったのもいい思い出だ
「そんな...奇麗になったなんて...冗談でも嬉しいです...」
顔に手を当て体をクネクネ動かしながら身もだえる日香里ちゃん。それを見ながらケイは本題を切り出す
(*´ω`*)
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