第25話 GMのお仕事
「許してほしければ早くそのアイテムを渡すんだな!そんな初期弓でこのジャイアントラットを倒せるわけがない!なんせ弓なんて地雷装備を付けているんだからな!」
大声で周りに鼓舞する様に言う死に戻り...ウザいからA男と名付けよう。周りの状況を知らないやつらが俺の事を「弓だから金が無いんだぜ」とか「またアイツ初心者に絡んでやがる」とか聞こえる
「えーと、じゃあ一旦ドロップ全部拾って兵士の前でログ調べてもらいましょうか。それで正当な持ち主を決めればいいのでは?」
すると、A男は自分に非があるのが分かっているため、全力で拒否する。それ所か、「だったら俺がドロップする!それでも問題ないだろ!」と聞く耳を持たない
「....GM!!!!しょーーーーーーーーーかん!!!!!」
俺は大声でGMを呼ぶ。すると周りの奴らは一部ニヤニヤしながら「終わったなアイツ」と言い、一部は「何言ってんだこいつ?」的な目で見て来た
すると空から6枚の天使の羽を付けたヴァルキリー的な人が降り...降って来た
「いたたた...着地失敗したー。呼ばれて飛び出てじゃじゃ...え?これ以上は言っちゃ危険?はーい」
何処か遠くを見ながら会話するGM。ゴホンと気を取り直したのか再度自己紹介を始めた
「私がGMのミカミです。今回呼び出してくれたのはケイ君かな?」
名前が分かるのはGM使用ですかね?
「はい、俺が呼ばせていただきました。内容は俺が倒したモンスターなのにこのA男が自分が倒したからドロップアイテムの所有権は自分にあると主張し、話を聞かない点についてです」
「なるなる。ちょっとまってねー」
GMがログ調べ出したので、先ほどまであれだけ騒いでいたA男が静かになったのに気が付き、そちらを見ると人ごみに紛れ、逃げようとしている所だった。
だが、A男の周囲から魔法陣が現れ、魔力の触手的なものがA男に絡みつく
「はーい。A男君、逃げられないわよー。君この1週間で同じ事件を5回繰り返しているわね。自分が倒しきれないモンスターを死に戻りしてでも誰かにぶつけ、その人が『倒す』か『削る』をしたら横から奪い取ると言う事例があるわね。
今までは許してきたけれど貴方には反省の色が見えません。そのため貴方は今後販売されるVR系ゲームすべてのアカウントを停止させます。もちろん、このゲームもね!
そうそう、別の筐体を買ったとしても、住所を変えたとしても貴方の情報は残っているから無駄よ。それではさようならー」
「ちょっと...待ってくれ!ほんの出..来心...で...」
何かを喚きつつ存在をデリートされたA男。その光景を見ていた者たちから、GMを初めて見るものは青ざめた顔を、GMを見たことある者は「妥当だな」と言われていた
するとGMが周辺エリアに聞こえるようにエリアチャットで会話をする
「不正はこの様に対応します!VRと言う技術が一般公開されたため、今回の様な人はいくらでも出てくると思います!
今後の法整備が整えば緩和して行きますが、現在では一番重い罰を下しました!皆さんも不正はしないでください!
さて!それじゃあ問題は解決かな?さあ!皆!これからも『Heart Sun Online』をよろしくね! 」
周りにいた野次馬どもがワイワイガヤガヤ言いながら分散していく。そんな中、GMのミカミさんが俺を呼び止めた