虐めなのか?これは
学校へ行く途中でも変化は見られた。人々のヒナへの集まりが異常で、横にいた俺は数百メートル流されるほどだ。これは怖い。何百人……否何千という人がいなければこんなことにはならない。結果的にはいつも通り一人で行くことにはなったものの、このフェスティバル状態は俺にはきつい。なので薬をゴクリ。
行く途中でも変化があるのだ。学校内に変化がないはずがない。そう思いながら教室へ行くと、一斉に殺意が飛んできた。それはもう復讐とかそのレベルに達していてもおかしくない。もう嫌だ。帰りたい。
彼らにとって俺という存在はそれほど気に食わない者なんだろうか。確かに多少の屑さは認める。けど、そんなに俺が悪いことをしたのだろうか。気付かないからこそみんなはキレているのかもしれない。謝るべきか……ッ!?
「邪魔なんだが、日南休」
「コハル?いきなりなにすんだッが!?」
首を絞められる。本気だ。ヒナのは遊び半分な所があるが、これは確実に殺害事件を起きてもいいつもりでやっている。ちゃぐっ……ふぁあはあはあ。
「ミケルやめてやれ。ここで暴力沙汰になるのはまずい」
「だが、こいつ」
「やめろと言っている」
助かった……セイエイが助けてくれた。
「セイエイサンキューな」
けど、助けたのは俺をでは無く、コハルの手を汚す事を嫌ってのことのようだ。セイエイの目も憎しみしか俺には向いていない。
俺は何をしたのだろうか。全く分からない本当に分からない。
チャイムが鳴ったので自分の席に座る。さすがに小学生レベルの虐めである、死ねや消えろなどの文字を机に掘ることはなかった。まあ、それがあったところで俺には関係ない事なんだが。
昼まで何もなかったので、省略する。強いて挙げるならば、先生も俺に対する態度が全く違うということだ。
そんなこんなで昼食時間になったので、食堂へ向かう。本当はコハルと行きたいが、朝あんなことがあったんだ。ちょっとあいつに対して嫌悪感を抱いてもしょうがないだろう。セイエイもだ。
廊下でも生徒からは蔑視されているような気がする。俺が疑心暗鬼になっているのかもしれない。俺は人と目を合わせないことにした。無論、全てに目を合わせないというのは行儀悪い。だから、極力人と話さないようにするしか、待避方法がない。久しぶりだな。誰とも話さない学校なんて。この学校の入学以来だ。
食堂に着いたが、早速同級生達に囲まれて別の所へ連れて行かれる。念の為薬を飲む。コハルの首絞めの様なことをされて、絶望病で意識なくなるのも困るし。このタイミングでの意識の消失は死を意味するかもしれないし。
反抗もせず付いていくと、そこにはヒナがいた。
「大丈夫?キュウちゃん。暴力振られたって聞いたから」
あの状況でヒナに伝える馬鹿がいるなんて思わなかった。皆憎しみしか俺には向いていなかったのに、ヒナへは全く変わっていない。逆に違和感を覚えるな。ヒナが元凶なんじゃないかって思いたくなる。けど、ヒナはそんなことしない。するはずがない。けど、そう思わないともう生きられない。
もう駄目だ。耐えられない。今まで友人だと思っていた人に裏切られるのは、今の俺では無理がある。
ヒナはそんな俺を抱擁し、小さな声で誘惑してくる。
「大丈夫。私がいるから。他なんて何もいらないよ。ねえ?」
そうかもしれない。もう何も考えられない。言葉通り、ヒナの傍に─────違う。絶対に違う。あまりにも出来過ぎている。やっぱりこれはヒナが俺を傍に置きたいがための何かだ。そう思うことで思考を多少でも回復させる。
「ヒナ。俺は大丈夫だからな。それに、今ここでそういうことはしない方がいいと思う。だから、話は家でな」
「キュウちゃん、あんな酷い子とされたんだよ?何故平気なの?」
「これぐらい薬を飲めばノープロムレムだ。その前に日本語の件図書室になさそうなんだか」
ヒナは俺が急に話を変えてきて、それが一切合切今日あった事と関係ない話だった事に驚いたようで、数秒間経った後やっとそれについて話した。
「これは家で話すよ。いいね?」
「それなら朝はなせよ。まっ、そんじゃあな」
待ってと聞こえたが、待たない。待ったら意味がない。俺は飯も食わずに、コハルやセイエイ。他のクラスメイトのいる教室へ向かった。