いろいろおかしい気がする
という夢を見たようだ。ようだなのは、ベッドの上で寝ていたからだ。その上寝間着にも着替えてるし。けど、あまりにも夢にしては現実みたいだった。
俺はベッドから降りると、荷物を確認する。夢だったらこの中にセイエイから貰った手紙と下駄箱で見つけた手紙の2つがあるはずだ。せっせらほいさ・・・・・・うむ、やはりあるな。ってことは夢だったってことだ。さらに時間割も済ませている。しかし、全く記憶にございません。
今日は俺が飯を作る番か。とはいってもヒナの家で作る訳なので、窓から降りて玄関から入る。そのまま二階へ上がりキッチンに行く。
さてと今日は何を作ろうか。普通に卵と冷蔵庫内の昨日ヒナが作ったと思われる晩飯の残りを使うか。ん、待てよ。あのヒナが食事を残すなんて今までにあったか?ヒナは俺が家に帰るまで俺が可哀想だと言って何か言わないと1人で食べたりすることなんて無かった。それに俺はあの時連絡をしていなかった。あれが夢だったら一つも問題点なんてない。
まあ、夢だったってことで今はしておこう。変に考えてもきりが無いし。
「ふぁ~むにゃむにゃ・・・・・・おはようグッドモーニングーテンターク、キュウちゃん」
「長ったらしい挨拶で呼ぶなよ。せめておはようグッドモーニングまでにしてくれ」
今日のご飯なあにかなあ♪と楽しみにしてるとこ悪いが、残りもんで作ってるんですよヒナさんや。
朝飯が出来たのでテーブルに並べていく。ここでヒナが手伝いをすることに関しては、昨日までと何ら変化がない。昨日は彼女が作ったが。
「ホウ!目玉焼きじゃないか!キュウちゃん凄いね!初めてじゃない?焦げずに作れたの?」
次の変化だ。俺は一度も目玉焼きを焦がしたことはない。多少の焦げ付きはあるが、それを含めたら、目玉焼きを作ったことがある人類の殆ど・・・いや、全員が毎回焦がしているだろう。けど、些細なことだ。
「おう!ヒナが教えてくれたからな。ふたを閉めたら、時計で測るって」
一瞬、空気が凍った。結局すぐ溶けたので何か寒い事でも言ったのだろうか。今の空気が凍るなんてことなかったのに。
「私はキュウちゃんに目玉焼きの焼き方教えたことなんて無いよ。誰かと勘違いしているんじゃない?」
「いいや、絶対ヒナから教わった。てか、なんで俺がヒナ以外から教わらなきゃいけねえんだよ。コハルはまともに料理作れねえし」
何か今日のヒナは変な気がする。ちょっと心配症なだけなら良いのだが。
「まっ、良いじゃねえかよ。お前が寝ぼけながら教えたとかそういうことで」
「結局私が教えたってことになってる!?」
二人朝食を取りながら俺は、昨日のことが本当に夢なのか確かめるため、テレビを付けてニュース番組を見る。後は携帯のSNSニュースも。
「行儀悪いよ、キュウちゃん。見るならどっちかにしてよー」
「地方だと見られない内容とか時々あるだろ?それ用だ」
昨日のことは携帯を見ても一切無い。やはり夢なのか・・・・・・。見る物がないな。俺はテレビを切り、携帯を閉じる。
「そういえば昨日の手紙通りにその場所に行くの?」
「手紙?何のことだ?俺、まだ見せてねえぞ?」
「昨日見せてくれたじゃない。読めないから読んでって」
「だから知らないっての。それじゃあまた読んでくれないか?」
面倒くさいなあもう。と文句を言うがヒナは俺が渡した手紙の中を読む。
「これはね、旧日本語って呼ばれる物でね、今キュウちゃんや私の名前にも使われている漢字って言う文字自体が今では廃れた物なの」
「なんで廃れたんだ?何か使いにくかったとかか?」
「ううん、第二次世界大戦終戦後日本はある2つの選択肢を取ることになったんだよ。1つが今まで通りに日本語を使って英語を少しずつ取り入れていく物、もう1つが英語を中心にして日本語を使っていくって奴だね」
「それとコレがどういう関係になるんだ?両方ともその使ってるんだろ?漢字とか言うやつは」
それにしても、日本に住んでおきながら日本語が読めないってかなりヤバいよな。アメリカとかにあるチャイナタウン的な所に俺は住んでいるのだろうか。彼らは本国の言葉だけでなく、ちゃんと英語も話せるので俺とは違うか。
「うん、一応はね。けどキュウちゃんは知らないみたいだけれど、日本語と英語って文法が根底から違うんだよ」
例えば何があるんだと聞こうと思ったら、ヒナに指で止められた。何だよ。ここまで教えておいて、後は自分でってか。
「もう時間だしね。ごちそうさまでした。帰ってからやるから食洗機に入れといてねキュウちゃん」
おうと答えたらヒナ上の階へ上がって行った。何か焦っているように見えたが気のせいだろう。朝は誰だって忙しい。焦ってない方が普通じゃない。
食べ終わったので軽く皿を洗ったあと、食洗機に入れて稼動させる。
昨日もしたが、ヒナとのじゃんけんタイムだ。これをしなくては行きにくい。
「おっ、行くぞヒナ。ほら、じゃんけん・・・・・・」
「なんでじゃんけん?」
これで分かった。じゃんけんが何故するか知らないっていうことはやっぱり俺の知るヒナじゃない。しかし、ヒナはヒナに変わりはない。どうするか。
「なんかしたくなってさ。気にすんなよ。うんじゃあ行って来る」
俺は学校に行こうとすると、ヒナは横に並んできた。もうこのヒナは俺の知ってる彼女ではないことは分かってる。だから何も反応せず学校へ向かった。