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俺の周りは絶望ばかりだ  作者: キノコ二等兵
日南休直史の周りは絶望ばかりだ
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作戦決行

「贇の所の者です。仕事の都合でここを出たいのですが」


「確認証を見せていただいてもよろしいでしょうか?それと自身を証明できるもののご提示をお願いします」


パスポートを係の人に見せると簡単に前に進めた。


次は俺の番だが、俺は入って来た時と出る時の名前が違う。気づかれないだろうか?一応今の俺は行方不明になっている。見つかれば変に疑われるかもしれない。何とか演技で誤魔化さないとな。


「次の方」


よし、行こう。今の俺は日南休直史じゃなくて白銀タケルだ。別の人間なんだ。ああそうだ。


足を進めて係員に目的とパスポートを見せるが、パスポートの方を見ると、ムムム・・・と俺とパスポートを何度か見直す。やっぱり気づかれたか?


「あなた前に別の名前で来ていませんでした?」


「・・・!」


やっぱり気づかれたか!マズイな演技でどうこうなるのか?だけどここは何とかして誤魔化さないと。


「あれは双子の兄の方です。昔別々の家庭に引き取られてそれで」


「・・・・・・分かりましたよ。ヒナヤスミさん。贇さんから詳しいことは聴いていないので分かりませんが、通って下さい」


やっぱ気づかれたあああ!てか知ってんなら窓原そこらへんしっかり俺に伝えてくれたっていいじゃねえか!


窓原の方を見ると腹を抱えて笑っていた。あのやろー・・・・・・。


係員から通行許可を得て窓原のところに向かい、何でそれを教えてくれなかったんだと尋ねると言う名の批判をすると、窓原は同じ状況になった時どういう対応で切り抜けるかを見たかったらしい。だとしてもさあ・・・・・・。


荷物を受け取って船に乗り込む。今まで俺が巨大人工浮島(ギガフロート)に行くのに使ったのとは違い個人で所有してそうなチャーター船に乗り込む。


その船の部屋で荷物を開けると、顔が青ざめたシラヌイが入っていた。


「よ、何とかなったながっっ!!!!!」


部屋から吹き飛ばされて船の先まで転がる。ワンチャン海に落ちてたぞこれ。


「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・もっと他の手段があっただろうが・・・」


「いやさ、これはお前のことを思って・・・ほ、ほらニュースに出てたじゃん?」


「だからってバックに入れる必要はないだろうが!」


シラヌイがそのままこちらに来て蹴ろうとするとそこで窓原が後ろから服を掴んで引っ張り反対側に投げ飛ばす。


「作戦を立てたのは俺だ。責任は俺の方にあるだろうが、それともお前はあれか?勝てないからひな・・・いや今は違うな。白銀タケルに手を出したのか?お前はそんなに矮小な奴なのか?残念だな」


何故そう煽るんですかねぇ・・・窓原さんや。ほら実際にシラヌイが歯をギリギリと鳴らして睨んでるじゃんか。


「お?やるか?武器なしでならいくらでも相手をしてやるぞ?」


「・・・・・・やめた。作戦通りキュウに付く。全部が終わってから考える」


取り敢えず、シラヌイが退いてくれたおかげで何も起きなかった。シラヌイは船内に戻り扉を閉める。


「よし、簡単だったな。行くぞ白銀」


船の操縦は俺がするんじゃないんだからそっちの判断でいいでしょ。俺は襲撃者たちにやられた傷はまだ癒えていないし、あんまり動きたくない。


まあ窓原も分かっていて言ったようで、こちらが答える前に船を動かす。


海の上をバサンバサンと跳ねながらアジア———日本に向かう。けど大型船じゃないのもあって思ったより船が揺れる。海に落ちれば拾ってもらえないかもしれない。ひゃあ怖え。


船内近くの手すりを掴みながら日本に着いてからの事を考える。作戦としてはまずは俺を知っている人の場所に向かうってことになってる。だからこの作戦の対象にはヒナが入っていることになる。あいつがやるなんてありえないが。


犯人を見つけたとしてどうする?殺すのか?あの時みたいに?出来たら殺さないで確保だけで済ませたいな。


「お前は探すのだけでいいからな?日南休。お前にはそういうのはまだ早い」


「すまないな・・・窓原。いくら意識なくやったとはいえ、やったことには変わりはない。思い出すだけで手の震えがくるよ」


「だが、やらなければお前は今こうやってヒナという少女の所に帰れなかったんだ」


けどそれは見方を変えれば、向こうの人は家族に会えなくなったわけなんだよな・・・。


「そうだけどさ・・・」


心が痛む。よく漫画で戦いに慣れてない人にプロがそれを忘れるなっていうのは、こういうやつなんだろうな・・・・・・。

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