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俺の周りは絶望ばかりだ  作者: キノコ二等兵
日南休直史の周りは絶望ばかりだ
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日南休直史の周りは問題ばかりだ3

 普通意識を失ったら、保健室に連れて行くのが正しいが、俺の場合は、教室の席に運んでもらい、伏せた状態だった。まあ、そうだよな。病状がよく分からない絶望病なんて、どうやって対処すればいいのかなんて、分からないし。俺さえ分からないんだぜ?だからこうなった後は、安定剤を飲む。また倒れるのはごめんだ。

 あの状況でここまで連れてきたってことになると、運んでくれたのはセイエイとコハルのふたりかな。本当彼らにはお世話になってるよ。後で会ったらお礼言っとかなきゃな。

 そういや、セイエイから渡された、刹那の手紙はどこかなったと……。オッ、左ポケットに入ってた。意識がないときに、セイエイが入れてくれたみたいだ。落として読まれないようにしないといけないから、バッグに入れとこ。何が書いてあるか、楽しみ楽しみ。

 休憩時間が終わり、授業開始の合図のチャイムが鳴る。また面白くないものなんで、なうろーでぃんぐ……。

 フー疲れたあ。これで、今日の授業科目は全て終わったし、このままバイトに行こうかな。でも、時間もちと余裕あるし、コハルには授業中に言ったからいいとして、セイエイにまだお礼言って無いから、そのあと向かうか。面倒だが、やるのは当然だ。

 セイエイどこかなっと……。あれま~どこにもいねえ。帰っちゃったかあ。あいつ以外に早いなあ。忍者なのかな?それはないか。仕方ない。刹那からセイエイに言っといて貰おう。そんで、明日またいやあいいし。刹那のところにうぉーくごー!。

 あっ、今は他の女子と話してるみたいだ。こんな時に話し掛けるとか、判断力精神力応用力容姿、全てが揃ってる人だけだよなあ。俺には、当てはまってる点がないし。しょうがない。明日にするか。

 普通に階段を降り、下駄箱の戸を空けると、何か手紙が入っていた。折りたたんであったんで、開くとそこに書いてあったのは、何処かの国の言葉としか思えない、文字で書いてあった。いやあ、勉強しないって罪だねえ。こういう時、本当困る。誰か、へるぷみい!。まあ、いいや。家に帰って、ヒナに読んで貰おっと。

 さてと、バイトバイト。しっかり働いて稼がなきゃな。今日の特定で、結構な金使ったし、それがなくても、家の食事代や光熱費、水道代が払えなくなっちまう。

「あれ?日南休さんじゃあないですかい。どうしたんだ?この時間にはいつもヒナさんに会うんだけどなあ」

 後ろを振り返ると、眼鏡を掛けるコハルがいた。しゃべり方も微妙に変わってる。ちなみに、コハルが眼鏡を掛けている時はなぜか、声が少し高く聞こえるんだよ。眼鏡にそんな機能があんのかな?

 そういや、俺は家で会えるけど、コハルとかは、こういう時しかヒナに会える時間ってないのか。

「悪かったな、ヒナじゃなくて」

「まあ、会えなかったのは残念無念また来年な訳だが、会えたとしても、そんな話せるわけでもないし」

「あ~コハル。あんまりあいつの話聞きたくないんだが。ほら、あいつの話聞くとさ、越えられない壁ってやつを感じるんだよ」

 外では、こうやって、ヒナとは仲がいいと思わせない。これがヒナと決めたルールだからな。

「そうかもしれんがね。誰かをあこがれの的にして、自分は平凡な人間だと思わせることも重要だと思うが」

「何が言いたいんだよ?」

「つまり、お前は出来るのに出来ない振りしてるってこと」

「俺が平凡でないと言いたいのかコハル?赤点ぎりぎりの俺が?冗談だろ?」

 あれ?コハルが真剣な眼差しで俺を見ている。コハルとは小さい頃からの友人だが、こんな顔見たことがない。逆に怖い。ヒナが俺を心配する目と同じだ。ってことは、コハルも心配しているのだろうか。

「そんな睨むなって。ちと、俺も言いすぎた。確かに平凡でないかもしれないな。すぐ気絶するところが」

「オレが睨む理由はそこじゃねえよ。まあ、いいや。日南休さんや、ヒナさん大事にしろよ。一番大事って気付いたときには、大体いなくなってるもんだからさ」

「漫画みたいだな。まあ、忠告は聞いておくよ。そんじゃあなコハル」

 普通に話をして、コハルと別れる。確かに、最近ヒナとまともに話したことしてねえな。よし、バイト終わったら、何か話すか。ネタを考えときゃな。

 ん?もう、いくつかの部活は始まってるみたいだ。この時期は、大会も多い。みんな熱が入ってるなあ。ちぇすとお!とか、ヘェアとか聞こえてきそうだ。

 この学校は陸上部や野球部、サッカー部の室外体育会系が有名だ。無論、俺は入るなど出来ない。マネージャーとしてなら、俺も入れるかもしれないが。

 今校庭で練習しているのは陸上部だ。全ての体育会系が使えるほど、我が校は大きくない。だから、基本は近くの練習場を借りてやるようになっている。それで、よく強豪校になれるな。

「あれ、日南休じゃん?部活の見学かい?それとも、入部しに来たのか?」

 俺を呼ぶのは、陸上部の主将の頼静未田らいせいみでん。全国大会に出場出来るほどの実力を持つやつだ。……それにしても、何でこう俺の周りは出来る人ばかり集まるのか。誰だよ、類は友を呼ぶって言ったやつはよう。俺は出来ないやつだぞ!

「入りたいのは山々何だが、ちとな、バイトで忙しいんだ。すまねえな。頼静」

「おっ、そうだったか。止めて悪かったな日南休。バイト頑張れよ」

 頼静は誰にでも優しい良いやつなんだけど、なぜかコハルやヒナからは、好印象を持たれてない。どうしてなのかは分かんねえけど。

 なんか、今日はいろんなやつに会ったなあ。いつもは、コハルと話してばっかだし。こんだけ人と会えば、絶望病を発症するのも無理はないか。

 ピピピッと、時計が鳴る。やばい!急いで行かないと、バイトに間に合わない!俺は長時間走れない以上、その分だけ時間を見盛っておかないといけない。それに、俺のバイト先は船で行かないと行けないので、丁度今鳴った時計のタイマーが、今出ないと間に合わないよと知らせてくれる訳だ。

 俺は走れないなりにも、極力急いで港へ向かって歩いた。


 

 

 







 

 



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