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俺の周りは絶望ばかりだ  作者: キノコ二等兵
日南休直史の周りは絶望ばかりだ
2/202

日南休直史の周りは問題ばかりだ2

 学校に着き、普通に授業を受ける。そんな光景なんて誰も見たくはないだろ。だから省略。なうろーでぃんぐ……。

 そんなこんなで、四時限目の授業が終わり昼食の時間だ。ヒャッフ~飯だ!ん?キャラが変わってるって?それは人間1つしかキャラがなかったら楽しくないだろう?という俺の持論な訳だが、理解しづらい人もいるなあ。例えばヒナもこういうのを理解出来ない人の1人だ。誰しも理解出来ないことはある。だから人前ではいつもと同じキャラでいく。つまり、これは心の中だから出来る話な訳だ。

「日南休さん~食堂行かないか~?今日の特定、鍋焼きうどんだしさ」

「何!?本当か?そんならもっと先に言ってくれよ!あれ、三分で売り切れるんだからさコハル」

「行くと決めたら、さっさっと行くぜ!さあ、現金の準備は出来ているか!」

 さん付けで呼ぶくせに、喋り方は崩している面白い奴は、ミケル・来春こはる・アイルランドという帰国子女だ。分かっているとは思うが、男である。どこかの賞を取った男も、ある人から帰国子女って呼ばれていたから、コハルが男でもそう呼んでも問題ないだろ。声に出すなら話は別だが……。ん?出身はアイルランドじゃね?アイルランドって名前が付くぐらいなんだからさ。当の本人は知らないみたいだが。それじゃあ、帰国子女って分かんねえぞ!さすが俺。馬鹿だな。

 話は変わるが、特定である鍋焼きうどんを食べるには400円かかるわけだが、足りるかなあ?バイトで稼いでるからあるにはあるけど、やっぱり大きいよなあ。特定以外なら200円ぐらいで買えるんだが。それにしても、特定高すぎ!どうしてこうなった。私学ならまだしも、公立だぜ?公立。もっと安くしろよな。まったくよお。

「もうすぐ試験だな。日南休さん。今回のは取れそうか?」

「赤点なら余裕のヨッチャンだぜ!」

「それって、恥ずかしいことだと思うが……」

「そういうコハルだって、物理オワテるじゃねえかよ」

「うっせえ。保険しか平均点以上越えられない奴に言われとうないわ変態め」

「なんやて~!このやろーぶちまけられてえか!」

「このタイミングでぶちまけるとか言うなよ!意味深じゃねえか、日南休さん!」

 ちなみに、結構赤面だ。男なら言ったところで、顔が赤くならないと思うんだが……。もしかしたら、コハルはそういうことに疎いのかも知れない。

 始まってないテストの話というしょうもない話をしながら、俺達は食堂に着いた。早く鍋焼きうどん定食を買わないと。もう売り切れてるかな。もちろん。食堂内じゃあ走らないぜ。どんなに急いで行ったって、ぶつかれば相手にも迷惑かかるし、その前に絶望病が発症するリスクだってある。無茶はしない。コハルは走って行ったみたいだが……。元気いっぱいなこった。ついでに買っといてくれないかなあ。

 この食堂は、食券を買って、それを注文するシステムである。その販売機は5つほどあるんだけど、内容が勿体ない位薄い。それなら、普通に注文制にしてしまえばいいのにな。まあ、コミュ障な人もいるだろうから、その人達の為だと思えば何の違和感もない。とは言え、注文制にしてしまえばいいのにと言っている俺も少なからず、コミュ障のところはあるが……。

 販売機には……あれ?全然人が並んでない。どういうことだろう。いつもなら1列に5人ぐらい並んでいるのに、それがいない。今日はみんな弁当なのかな?確かに周りを見ても、自作の弁当の子がほとんどを占めてる。まあ、見える範囲だし、まだ、来てないだけだろう。

 そういえば、コハルが見当たらない。あいつ先に販売機に向かったはずだが……。どゆこと?あいつに限って、場所が分からないってことないだろうし、その前に俺と一緒に来たんだ。この中にいるはずなんだが……。どしましょ。先に食べるってのもありだけど、それ、裏切りみたいなもんだし。販売機付近で待つことにしよう。そうしよう。これなら確実会えるだろうし。けど、食券は先に買っておく。特定をな。

 食券買ったからいいものの、本当にあいつ何処行ったんだよ。一人で食べてるとか言ったら、あいつの腸食い荒らしてやる。グウウウ。もちろん、冗談。

「ちょっ離せよ!先に取ったのはオレだぜ!何であんたらに譲らなきゃならねえんだよ!」

 この声はコハルだ。あいつ誰かと揉めてるのかな?行ってみよう。てくてく……。その時目に入った状況は、まずい、非常にまずい。コハルが絡まれている連中は、ヒナ親衛隊を自称する奴等なんだが、こいつらは俺がいつもヒナと外ではバラバラで行動する理由になってる原因の1つだ。つまり、絶望病の発症リスクを上げる要因だってこと。

 俺のことを考えるとほっとくほうがいいんだが、仲間を裏切るわけにはいかない。よし、止めよう。

「しゃあせん。俺の友人がちと問題起こしたみたいですが、何起こしたんすか?」

 珍しく体育会系っぽく話しかける。もちろん、こんな体で運動系の部活なんて入れないし、バイトがあるから、基本的に無理。

「日南休さん……何を……?」

 コハルは何か言いたそうだが、まずは相手の話を聞こう。例えこっちが問題無くても、あっちにうるさくされるのは御免だ。ごめん、コハル。後で幾らでも聞いてやるから。目だけで伝える。任せろ。てね。普通なら理解出来ない。友達っていいね。

「何も起きてねえよ。ただ、場所譲れって話だ」

「ですが、座る場所なら幾らでもあるでしょう。たった、二席ぐらい関係ないと考えますが」

 親衛隊の奴等は俺が正論を言ったところで、諦める気配がない。ここはコハルを連れて、別の場所に行った方がいいな。コハルがふざけんなってキレそうだけど。ここで言い争いしていたら、奴等と同レベルになるし。

「ここの席は譲りますね。あまり大沙汰にもしたくないですし」

「おう、元から早く譲りゃあ良かったんだ」

 では、と俺はコハルを連れて席を離れる。コハルは納得いかないみたいだが、今はコハルの意見は聞いていられない。てくてく……。

 親衛隊の奴等がいない所まで来てから、コハルの反論を受ける。

「何で譲ったりしたのさ!折角、エアコンの当たりやすい場所を選んだのにさ。それにオレが二席分取ってたのに、奴等が奪ったんじゃねえかよ」

「お前の言い分も分かるけどさ、奴等親衛隊だぜ?変に喧嘩売ってヒナにでも言われた時にゃあ、まず、顔も合わせて貰えないぜ?」

「っく……本~当お前はそういうところの運は良いよなあ、日南休さんは。いつも家でヒナ様といちゃついてんだろ?だから保健の点数も良いわけだろ?」

「だから、いちゃついてねえよ。圧倒的に主導権握られてるし。今日なんて、首絞められて、折れる寸前だったしさ」

 ふーんと、本当にそうなのかと疑いの目を向けてくるが、そのまま、食券を食堂のおばさんに渡す。

 俺は先ほど買った、鍋焼きうどん定食。コハルは、販売機に残っていたカレーを頼む。ん?何でコハル席を先に取ったのだろう?普通なら頼んでからか、食券買ってからだと思うんだが。聞いてみるか。

「何で食券買ってから席探さなかったのさ?ふーふーじゅるり」

「ふーふーパクッ。それじゃあ、あの席取れないかもしれないだろ?」

「そうかあ?ならないと思うがなあ。あっ、そういやさ、刹那ってセイエイの双子の姉さんなんだろ?じゅるり」

「うむ、そうらしいがそれがどうした?パクッ」

「時々教室でさ、こっち見てることがあるんだよ。俺に気でもあんのかなあ」

「そりゃあねえだろ。それはどちらかというと、変な奴だなあって思ってるから、見てるだけじゃね?それに、気があったとしても多分それは、恋愛感情とかじゃあなくて弟さんみたいに、心配に感じてるだけだと思うぜ」

「そっかあ……ショボーン」

 多分、コハルが言う通りだと思うが、やっぱり、ショボーンって顔にはなるよなあ。はあ……。

「まあまあ、落ち込むなって。落ち込みすぎると、発症するぞ」

「……そうやな。そんじゃあ、お先」

「ぐへぇ……早くねえか?うおおおおバクバク……」

「コハル無茶すんなよ……ほら、のど詰まらせてんじゃん。ほら、水飲め」

「ぐぅ……すまない……」

「気をつけろよなあ、まったく」

 本当にコハルはバカなんだろうか。そんなに早く食べたいなら、喋らずに食べればいいのに。まあ、折角一緒に食べてんだから、話さないでいる方がおかしいか。

「ん?日南休さん。あれってば、前原さんじゃね?」

 コハルの口調上、多分コハルの言う前原さんというのは、刹那か、セイエイのどっちかなんだろうな。あっ、そうそう。何で双子なのに漢字と片仮名読みに分かれているかというと、愛称っていうのもあるが、刹那とセイエイの場合は、名前自体が、漢字と片仮名表記に分かれているらしい。そうヒナが言ってた。

 今回俺達のところに来たのはセイエイかな?あいつとは結構仲良いし。それに、刹那本人が来る理由が俺にはない。あるとしたら、コハルに会いに来るぐらいだろう。だって、コハル、スタイル良いし。イケメンだし。それに比べりゃあ俺なんて、村人Z位のところだろ。

 後ろを振り返るとそこにいたのは、セイエイでした。ショボーン。ってかひでえな、俺。知り合いに会ってショボーンとか最低だろ!だから、女子からあんまり人気無いんだろな。バレンタインチョコだって、義理も貰ったことねえし。ショボーン。

「おっす、前原さん。その紙は何だよ?」

「刹那からこれ、キュウに渡せって言われて持ってきた。読むのは家に帰ってからにしろって」

「俺に?ふむふむ、分かった。家に帰ってから読めば良いんだな?で。何でここで渡すんだ?教室でもいいだろ?」

 そうやなと頷くコハル。本当になんでだろう。ラブレターとかだったらいいなあ。でも、ラブレターにしても、それなら靴箱に入れりゃあいいのに。ってかまず、貰える訳ねえか。

「聞くな。知らない」

「そりゃあ無責任な。日南休さんだってそう思うだろ?」

 俺は、ああ……とコハルに返事を返す。

 他にも、コハルとセイエイが話をしているみたいだが、何も聞こえない。いや、聞き取れないが正しいか。力も入らない。やっば、これもしかして……。

 確信する前に俺の意識は、無くなってしまった。

 

 






 


 

 


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