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俺の周りは絶望ばかりだ  作者: キノコ二等兵
巨大人工浮島《ギガフロート》編
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外側の天国3

 階段を登り修也のいるであろう階にたどり着くと先程の穴を目指す。


 穴に近づいて行く毎に下にいたものとは違うBOWの骸の胸部と顔面に大量の釘が刺さっていた。


『何体かは顔が歪んでる……歪んだ部分の釘が少ないし釘を刺してから殴ったのか』


 骸の近くには穴を開けた空き缶落ちておりそれには何本かの釘が刺さっていた。


『手製の武器を作っていたのは知ってたが、これまでの威力がある物を作れるなんてな』


 爆発音が遠くから鳴る。そちらに修也がいるようだ。


 足を引きずりながら走ると痙攣を起こしたBOWだけが残っていた。


 それを仕留めると更に奥へと進んでいくとどろどろに溶けた左腕が落ちていた。この階BOWの物と比べて細く俺の腕とあまり変わらないサイズだったので修也の腕だろう。


 瀕死であった修也の身体が限界になったのだろう。右腕は義手だったから外れる事がなかったようだ。


『これ以上の戦闘はあいつも出来るわけがない。早く合流しないと』


 更に奥へと進み扉をくぐると、そこには修也が血溜まりの上に仰向けに倒れていた。


 すぐに修也の元に近づき状態を確認する。


 肌が溶けているのかブヨブヨとした不快な感触のせいで分からなかったため次に口に耳を近づけて呼吸を確認すると僅かに風が耳に当たった。まだ息はある。なんとしても助けないと。


 だが彼がここに来た目的は刹那たちを助ける為だ。彼女たちのために来たのに彼だけ助けたら修也は俺を絶対に許さないだろう。


 3人を連れて脱出するにはルートの確保が先決だ。JPPを探して問いただす。


 先の扉を進んでいくと血痕が続いていた。修也が一矢報いたのか?だとするなら多少見つけるのが簡単にはなってると思うが。


 どれだけ進んでも扉はなく、先程の血痕が続いている。つまりはこの先だという事だ。


 重くなった身体で地面を駆けながら先まで進むと血に染まった衣服が捨てられていた。止血の為に押さえていた物を捨てたのだろうか。扉を開けるボタンに血痕がある事からこの先に行ったようだ。


『これだけ出ているともうそう遠くへは進めないと思うが……』


 拳銃を片手に扉を開くと左腹部を押さえながらこちらから距離を取ろうとするJPPを俺は肩を掴んで胸ぐらを掴む。


『なぜ日本を離れたはずのお前がここにいる。俺がいるのを知っていてどうしてこちらにも攻撃を仕掛けた?あのとき(・・・)のお前だったらする筈のない行動だ。それにあのBOWはお前が作った物じゃない、どこで手に入れた?』


「殺せば良いでしょウ……」


『聞く前に殺すのは必要のない時だ。あんたには聞かなきゃいけないことが多いんだよ』


「ハハハ……殺されるなラ話すわけもないでしょウ」


『……JPP、名前を言ってみろ。フルネームでな』


「……ジャンヌ・ピエール・ポルナレフ」


 そういう意味ではないと壁に押し付けると力無く腰を床に着ける。


『もう一度』


「それが……名前のフルネームでス」


『そうか……』


 こいつはJPPじゃない。巨大人工浮島(ギガフロート)か他国で作られたインたちのようなクローン人間だろう。本物はいないのならもう用はない。


 適当にJPPを投げ捨てた俺は3人の元に戻り少女2人を背負い修也は抱えてその建物を後にした。


 外に出るとボロボロになったインがいた。3人も背負ってキツイだろうと判断したインはすぐに刹那さんを背負う。


『もう日本にはいられない。俺の力じゃ修也の身体を治せないし常に診ている余裕もないしな』


「じゃあ僕も行こうかな。もう人もいないし」


巨大人工浮島(故郷)にも帰れない、か。今の俺みたいだな』


「じゃあまるで兄弟みたいだねキュウ」


『俺は思っていないがな。まずは大陸にでも行くか』


 そんな話をしていると窓原から思考内通信が入る。


『日南休、困っていることはないか?』


 あるとしたらあんたからの通信であいつらにバレる事だな。手短に頼みたい。


『船で一度沖の方に来てくれ、世界から狙われない場所を教えてやれる』


 そう言うと無線が切れる。俺はそれをインに伝えると港へと向かった。

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