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俺の周りは絶望ばかりだ  作者: キノコ二等兵
巨大人工浮島《ギガフロート》編
185/202

日南休2

 震えが止まらない腕で車椅子を押していくと1人の不審者が俺の病室内の壁に寄りかかっていた。


「憤怒よ。貴様も平凡になにがあったかは聞いたな?」


 俺のうちの誰かだ。最近聞いていなかったのもあり予想はつかない。とりあえずは別人格の俺ということはわかるので聞いたと頷く。


「ならば手を貸せ。あの女を殺す」


『そのつもりだ。どうやって殺す?』


巨大人工浮島(ギガフロート)の存在を消す」


『いくらなんでもそれはやり過ぎだ。ヒナを殺すだけなら理解出来るし協力もするが、他の人間を巻き込むのは容認出来ない』


「なぜ容認出来ない。会長はヒナを管理すると言っておきながらこのざまだ。奴も裏切った以上こちらがやつに協力する必要はない」


『それは会長だけであって他の他人は関係ないだろ!インやマスター、リーリャさんは少なくとも関係ない』


 同じ人間からこうも考え方が変わるのかと思いながらも反論する。


「一部の人間の為に難易度を上げるつもりか。曲がりなりにも巨大人工浮島(ギガフロート)は世界で最も技術力の高い場所だ。手を抜けるほど甘い相手ではない事ぐらいは分かっていると思っていたが?」


『ああわかってる。でもやっぱり関係ない人間まで巻き込む事を平凡が望むとは思えない』


「だからこそだ。あいつが手を汚さなくてもいいように我らがやつを消すという行動をなぜ理解しない?」


『潰すことには反対はしてないだろ!殲滅はどうかと言ってるだけだ』


「……あくまでもひとりの人間だけか。ならいい、もう面倒だお前も平凡のように寝ていろ」


 別の日南休(俺たち)が銃を向けるとそのまま銃弾が放たれる。


 車椅子に乗っていた俺では回避は間に合わず、銃弾が身体に———は当たらなかった。


「わざわざ自分から殺されに来たか」


「1番平凡に近い人間を殺したら今度こそ人間じゃなくってしまうでしょうが!娯楽でこうした行動を取ったのに自分から娯楽を捨てるのかあなたは!」


 俺と他の日南休(俺たち)の間に割り込んだのはシュレの相棒の生物だった。


『シュレ!?馬鹿!ヒナを殺す前にお前が殺されるぞ!』


「いいから脱出!その子に捕まって!」


 言われた通り俺はその生物に捕まると病院を飛び出した。


『あいつら追ってこない……?』


「シュレがここまで逃げ切れたのはこの子のおかげ。たしかに同じ場所に留まらないようにはしていたけど、それでも移動予想は立てられる」


『けどこいつのおかげでその予想さえ立てるのが難しくなってたってことか』


「そゆこと。でもこれからどうする?この国にはいられないでしょ?」


『確かにな。いればその人に迷惑がかかる。けどアオイたちを置いていくわけにも……』


「……彼女たちを安全な場所に置ければいいんだね?なら方法はあるよ」


『会長には預けれないぞ。ヒナの事で信用は出来ないからな』


「大丈夫……とまではいかないけど、権力もあって彼女たちを匿うことが出来る人が」


 どうして俺よりも人脈が広いのかはさておいて、匿えそうなのといえばインだがそれならこんな言い方はしないか。


「マツナガ殿かな。あの人巨大人工浮島(ギガフロート)の勢力としては会長さんたちよりは劣るけど、充分に力は持ってる」


『マツナガ……末長?会長グループか?兄弟の末っ子だったり?』


「そうだね。権力闘争から逃げたくて海の底にある巨大人工浮島(ギガフロート)で会社を何でも屋に近いのを経営してる。仕事もあるから彼女たちの生活も保証出来る」


『アオイたちの意思は入ってないから何とも言えないが……』


「そうなったらシュレたちには時間がない。どこかのタイミングでマスターに頼むしかない。取り敢えず会うだけ会っておこう」


 シュレに連れられて俺はもう帰ることも難しくなるあの家に帰ることにした。

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