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俺の周りは絶望ばかりだ  作者: キノコ二等兵
巨大人工浮島《ギガフロート》編
169/202

救出作戦・調査

『うーむ・・・・・・侵入は楽そうなんだがなぁ』


 山の中のおかげで侵入に関しては今までとなんら変わらない。


 だが研究施設でないせいで極東連合侵入御用達の白銀タケルという名前が使えそうにない。それに前施設の人間がいる可能性も加味すると今回は使うわけには行かなそうだ。


 JPPのいた施設と同じように地下の脱出口もあるかもしれないのでそちらの調査も行う。


 麓にも足を運んで周りを歩くがしれらしいものはない。あるかもしれないがそれを隠す壁が厚すぎて今の俺の装備では認識することはできなかった。


『となると正面突破に近い方法になるだろうなぁ・・・・・・』


 白銀タケルを使わずかつ同じように侵入する方法探さないと、推定戦力比が計算出来ないほど差が大きい中に無謀に突っ込むことになる。


 しかしどこに何があるのか把握しないと援軍を呼ぶにも呼べない。


 一度巨大人工浮島(ギガフロート)に戻り無人偵察機を購入するのもありだろうが、撃ち落とされた時のリスクがでかいし選択肢としてはないな。


 再び山の方に戻り双眼鏡を覗きながら、構造を把握していく。


 半日ほど過ぎ太陽が上り始めた頃、犬を連れた兵士が山を登り始めていた。


 見つかるのはまずい。この位置からなら目立たず距離を離せるので一度その地域から離れる。


 太陽から放たれる光で生まれる影が俺と同じ長さになった頃、一度帰宅した俺は隣の街で買った食品を口に含みながら調査で得た情報を紙と携帯にまとめていく。


『知ってる情報屋はいるだろうが、俺が極東連合側の情報屋を知らない。外見と内部は違うってのはよくある話だ』


 可能であれば武器や食料を卸している業者を見つけて情報を貰うのもありにはありだが、武器庫ならまだしも食堂を知ったところで意味はない。


 このまま考えても何も答えは出てこない。寝て整理してからもう一度まとめてみるか。


 そう判断した俺は急がんばかりにソファに横になるとすぐに眠りにつく。


 太陽が傾き始めた頃、窓から漏れる太陽の光が俺の目に入り無理やり起こされる。


 寝た場所の問題もあり疲れは取れなかったが、そんなのはずっと前からなので気にする程の問題じゃない。


 ソファから転がるように落ちて自分が生きていることを確認すると、重い身体を起こす。


 寝る前にまとめた資料に再び目を通していると家のインターホンが鳴る。


 別のインだろうか?それとも修也達だろうか?もし極東連合の人間だった場合の事も考えてナイフを仕込んだ状態で玄関に向かう。


 玄関の扉を開けると外にいたのはコハルだった。


「日南休さん・・・・・・でいいのか?それとも日南休さんの知り合いって呼べばいいのか?」


巨大人工浮島ギガフロートの時と一緒で日南休さんで構わないさ。中に入れよ、わざわざ来てくれたんだ飲み物ぐらいは出すさ』


 家の中にコハルを入れてまずは俺の寝ていたソファに座らせる。


 作戦のことを知られるのはまずいのでその資料を片付けてから紅茶を淹れてコハルに渡す。


「ん・・・・・・わざわざ新しいのを買ったのか?味が放置された物とは思えないが」


『よく分かったな。休む時に心が落ち着ける飲み物は置いておきたいからな』


 俺の分も淹れてソファの逆側に座り彼女を覗きながら紅茶を含んだ。


『んでなんでわざわざここに来たんだ?温和・・・・・・インが家にいる奴も協力しろと命令でもされたか?』


「日南休さんが個人行動するときはいつだって危険なことばかりだからな。シラヌイくんを使わない時点で何となくという形でな」


 コップをソファ前の机に置くと彼女は俺の目を覗き込むように視線を向ける。


「シラヌイくんから今まで何をしていたか聞いた。研究施設は全て潰したのにまだ動くとなったら軍基地でも襲うつもりなんじゃないか?」


『襲うわけないだろ。ただ窓原達を助けようと考えているだけだ』


「極東連合の人間が許すわけないだろ。攻撃をする気なら私が力を貸す。私の団の戦力を使えば多少なりとも日南休さんの目的はこなせると思うが」


『怖くないのか?家族が殺されるようなものなんだぞ?』


「怖いが友達を助けるためって言えば「姉さんの男なら!」って言って死地に一緒に来てくれるさ」


 それは最後の手段だ。極東連合の地域に住んでる人が極東連合の人間を攻撃するなんてことあっちゃいけない。それもあれだけの広大な土地を持ってるコハルのところなんだから反旗を翻すのはまずいだろう。


『最終的な選択肢として残しておくよ。どっちにしろ今すぐ攻撃するわけじゃない。念の為話は通しておいてくれコハル』


 ああ、と言って紅茶を飲み干した彼女は立ち上がる。俺は車庫のバイクを貸し与えると彼女はそれに跨りそそくさと実家へと帰っていった。


 さてと・・・・・・温和経由で会長(かいなが)グループに救援でも求めるか。巨大人工浮島(ギガフロート)の人間を助けるためって言えば多少なりとも戦力を割いてくれるかもしれない。


 紅茶ゆっくりと飲みながらコハルが帰るまで俺は次の行動をどうするか考えた。

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