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俺の周りは絶望ばかりだ  作者: キノコ二等兵
巨大人工浮島《ギガフロート》編
166/202

故郷は・・・・・・2

 このカプセル容器は以前目を通したBOWの資料にいた者たちの生産工場のようで、すくすくと成長を続けていた。


 戦略兵器で人がいなくなったこの場所で行うにはとっておきの場所になっていたようだ。


『まさか巨大人工浮島(ギガフロート)の攻撃じゃなくて極東連合が仕掛けて行なったとかか?』


 あんな兵器を作れないからBOWの製作に力を注いでいると思ったんだが・・・・・・。


 カプセル容器の硬さは分からないしそれ以前に暴走の可能性を判断して廃棄処理用の操作があるはずだ。


 暗い部屋内部を歩き回っていると、生物の気配が感じられた。


 どう考えてもこのBOWを制作している人間だろう。処理の方法を確認する為にも即座に殺す必要はない。


 カプセル容器に隠れる形で入ってきた人間を監視するしていると中に入ってきていたのは、右腕のない少年とそれを連れて歩くふたりの少女だった。


「ここが赤鬼の生産施設、これを修也くんに使えば」


 彼らも生きていたのか・・・・・・インならまだしも一般人である彼らが生きてるなんて。てか赤鬼はBOWの事だろうが、それを人間に投与するのか?


 モニターをカチカチと弄ると自販機の飲み物のように栄養剤が下から落ちたものを拾うとそれを左二の腕に打ち込む。


 修也の表情をから苦しみが時間が経つにつれて消えていく。人にも機能する物のようだ。


 しかしこんなものを作っているのを見てしまった以上、見逃すわけにはいかない。最悪戦争につながってしまう。


 情報を聞く為にも俺は容器の影から3人の前に姿をあらわす。


『インもそうだが、どうやって生き延びたんだ?病院の範囲から考えて、戦略兵器に巻き込まれたはずだが』



「白銀さん!?どうしてここに?」


『放棄された極東連合の施設を使ってなにを企んでいるのか尋ねたいな。内容によっては殺害対象にみなす』


 修也を守るように少女たちは俺の前に立ち塞がる。俺が修也を殺すと判断したからだろう。


「・・・・・・話していい?」


「この人は信用出来るの?」


「分からない。けど言わないで殺されるよりは」


 芹と思われる少女は一歩前に出ると重い口を開いた。


「あなたの言う通りこの街の人はみんな消えた。私は修也が気づいてくれたおかげで被害に遭わなかったけど、他はみんな消えた」


『それとBOWの施設を復旧させることの意味は?』


「攻撃が終わった後、修也は外でひとり消えていく人を見てた。他はいないのに修也だけ残ったことに違和感を感じて調べてみたの。そうしたら」


『死亡したはずの修也は元々人間と構造が違ったから戦略兵器の影響を受けなかった・・・・・・ということか?』


 インが無事なのはこちら側ではなくあくまでも巨大人工浮島(ギガフロート)側だから、ということか。


 選択肢に入るものを消すのだから当然といえばそうか。


「赤鬼の技術を使えばあそこから攻撃されても問題なく暮らせる。静かに暮らせるもん」


『だが何故それを増産する必要がある。やればやるほど敵に攻撃する口実を与えるだけになる』


「だから普通の生活を送れる程度にする為に使うの!」


 被害にあってもそれを力としては使わないか・・・・・・俺たちとは違うな。この子なら悪いことには使わなそうだ。


 俺は銃を降ろすと、背中を向けて部屋の外に出ようとするところに声をかける。


『もう一度聞くけど、本当にそれを兵器として使う気はないんだな?』


「あなたみたいにはね」


「芹ちゃん・・・・・・」


『・・・・・・そうか。それならいいんだ。ああもし修也が目を覚まして義手を必要とするなら俺のところに来てくれ』


 兵器を人に出来るのなら、俺たちも人になれるはずだ。彼らを観てそれを確実なものにする。運が良ければなるじゃなくて確実になるルートを見つける為にも。


 これから忙しくなるな。狂学者(マッド)のような研究調査なんてやったことはない訳だし。


 俺は彼らを置いて他には誰もいない校舎を後にした。





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