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俺の周りは絶望ばかりだ  作者: キノコ二等兵
巨大人工浮島《ギガフロート》編
163/202

休暇

 大規模な戦闘は終了し、目標を回収した巨大人工浮島(ギガフロート)は最低限の戦力を残し本国へと帰国していた。


「これで幾分かは戦場に行かなくていいから楽ですなぁ白銀」


 共同部屋のベッドで横になりながら俺は適当にそうだなぁと答える。


『けど街の清掃活動とかもあるし遊びにゃ行けないぜ』


「それも大事だけど久しぶりに遊びに行きたい気分は消えないだろー?」


『あんまり言わないでくれ俺も遊びに行きたくなるだろ』


 俺が戦場に行っている間に送ってきてくれた漫画をウェイバーにも貸して時間を潰していく。


 そんな堕落を貪っていると、フォックス副隊長が部屋に入って来るや否や、俺に出頭命令を伝える。


『自分らは本日分の訓練及びスケジュール内容も全て達成したはずなんですけど・・・・・・』


会長(かいなが)様から直々の出頭命令だ。ウルフと貴様を含めて3人だ』


「てことは自分もっすか?」


「ウェイバー上等兵には掛かっていない。貴様はここで白上等兵の持ってきた漫画で尊さでも学んでおくがいい」


 あれ、結構副隊長こういうの読むんだな。この漫画の検閲を行なっていなくてもああいう言葉を使うなら、嗜む程度には読んでいるということだ。


 ウェイバーは関係ないのか・・・・・・と項垂れるがすぐに身体を戻す。


「面倒だとは思うがさっさと向かうぞ。遅ければそれだけ後日に響く」


『了解です。ウェイバー行ってくらー』


「おうさね」


 俺はフォックス副隊長の背後をついて行っていると、なぜ呼ばれたか携帯を渡して俺に内容を読ませる。


 文章内特に変な部分はなく、ただ簡潔に出頭命令が下されていた。


 わざわざ他の人間に聞かれてはまずい事とは思えない。


 悶々としているとフォックス副隊長は携帯を素早く取り上げて別の文章を見せてきた。


「すまん。別のものを見せてしまった」


 再び手渡された携帯を覗き文章を読んでいくとあの場というよりこの地域では声を出してしまうのを憚られるものだった。


———非能力者である君たちの力を借りたい。ウルフとフォックスは当然だが、白銀を選んだ理由は瓦礫に潰されてなお即座に復帰出来るほどの回復力と耐久性を見てだ———


 確かに巨大人工浮島(ギガフロート)では非能力者への当たりは強い。能力の優秀な人間である自分たちを使わず雑兵である無能力者を選ぶとは・・・・・・と考え、俺たち以外の仲間たちに被害が及ぶ。


 そうならない為にも口には出さないようにしたというわけか。


 内容を理解した俺は携帯を返すと施設の出入り口で待っていたウルフ隊長と合流して宇宙へと上がる。


 ぷかぷか浮かぶ身体を上手く捻りながらふたりについて行くと、前に上がった時には行けなかった重力圏のある場所に辿り着いた。


 エレベーターが開き、その先にあったのは空にも横にも建物がある歪な構造体だった。


『これが巨大人工宇宙島(スペースフロート)・・・・・・足がついててもどこが上か分かりにくい・・・・・・』


「宇宙酔いもあるから気分が悪くなったらちゃんと言えよ?会長(かいなが)様の前で吐いたら俺たち打ち首だからな?」


「それに宇宙では散弾のように飛び散るしな。昔ウルフがそれをやらかして禁固刑になっている」


『ひえぇ・・・・・・気をつけます』


「フォックス、嫌なこと思い出させるなよ・・・・・・反省してんだから」


 ウルフ隊長から渡された薬と水を飲んで心を落ち着かせると、高級感のある洋館の前でふたりは足を止めた。


「ここは会長(かいなが)様の私邸だ。巨大人工水上島(シーフロート)の人間が何故来ている」


「ここは喫茶店だと聞いたんだが、違うのか?」


 ん?会長に呼ばれたからここに来たのに別の場所にいるのか?


 ウルフ隊長は戸惑うこともなくただ淡々と口を動かす。


「結構美味い紅茶とワッフル食えると聞いてきたんだがなぁ」


 警備員は紅茶とワッフルの言葉を聞くと表情を変え監視室へと戻る。


『今のがパスワードだったりするんです?』


「あんなのがパスワードだったら簡単に侵入されるに決まってるだろ。適当に吹っかけたんだ」


 ええぇ・・・・・・場合によっては殺されるんじゃ?いや場合とかあるわけなく殺されるでしょ。


 警備員は小走りに俺たちの元へ戻り問題点の一切無い完璧な敬礼をすると門の扉を開く。


「申し訳ございませんでした。まさか本当に会長様のお客様だとは」


「気にしなくて結構です。会長さんの名前を出せない我々にも問題があるのです」


 フォックス副隊長は警備員の言葉に返答し俺たち3人は洋館の中へと進んでいった.

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